河越尼

河越尼（かわごえのあま）

河越尼（生没年不詳）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての女性御家人です。比企掃部允と比企尼の次女として生まれ、武蔵国の豪族である河越重頼に嫁ぎました。源頼朝の嫡男、後の鎌倉幕府二代将軍となる頼家の乳母を務めたことで知られています。実名は不明です。また、源義経の正室（郷御前）を娘に持ちます。

生涯

寿永元年（1182年）8月12日、源頼朝と北条政子の間に嫡男・頼家が誕生します。その際、河越尼は比企能員邸にて頼家の乳母として召し抱えられ、乳付けの儀式を執り行いました。

元暦元年（1184年）9月14日、頼朝の命により、河越尼の娘が源義経の正室として京へ上りました。しかし、頼朝と義経の関係は悪化し、義経が頼朝に背き挙兵すると、河越氏は義経の縁戚として連座することになります。文治元年（1185年）10月23日には、嫡男の河越重房が勝長寿院落慶供養の随兵から外され、同年11月12日には、河越重頼が所領を没収されるという憂き目に遭いました。その後、頼朝の命により重頼・重房は共に誅殺され、河越尼は出家しました。

文治3年（1187年）10月5日、頼朝は河越重頼の遺族を哀れみ、後家となった河越尼に対し、河越氏の本領である河越荘を与えました。しかし、地元の名主や百姓らが尼の支配に従わないという風聞が広まったため、頼朝は河越荘の荘務・雑務は全て尼の命に従うよう命じました。木村茂光は、この経緯について、文治元年に重頼の老母が河越荘を預かり、幼少の孫の地頭との支配体制が実現したものの、実効力が伴わなかったため、文治3年に頼朝が河越尼に荘務・雑務の一切を任せるに至ったと指摘しています。

河越荘はその後、重頼の次男である重時に継承されました。

脚注

『星月夜の鬼子母神』（篠綾子、集英社文庫、2021年）ISBN 978-4-08-744313-4

関連作品

小説

篠綾子『星月夜の鬼子母神』（集英社文庫、2021年）

テレビドラマ

『草燃える』（1979年、NHK大河ドラマ、演：服部妙子、役名：河越純子）

関連項目

比企氏
河越氏
御家人

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