河野教通

河野教通：室町・戦国期の伊予守護、激動の生涯

河野教通（かわの のりみち）は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将であり、伊予国の守護大名でした。父は河野通久。室町幕府との関係の中で、数奇な運命を辿りました。

生涯

教通は、初め室町幕府6代将軍・足利義教から偏諱を受け「教通」と名乗ります。しかし、嘉吉の乱で義教が亡くなると「通直」に改名しました。この背景には、幕府内における権力闘争や、伊予国内の複雑な勢力関係が影響していたと考えられます。

永享7年（1435年）、父・通久の戦死により家督を継ぎます。その後、将軍・足利義教の命を受けて永享の乱や大和永享の乱に出陣。嘉吉の乱後には、赤松満祐討伐のため播磨へ遠征するなど、幕府の命令に従い各地を転戦しました。

しかし、文安3年（1449年）には、守護職を又従兄弟である河野通春に交代させられます。これは、幕府内で教通を支持する足利義政・畠山持国と、通春を支持する細川勝元の間で、河野氏の家督を巡る意見対立があったためと見られています。

その後、享徳2年（1453年）には、勝元が管領の職権を濫用して御教書・奉書を偽造し、再び通春が守護職に任じられます。この不正が発覚し、勝元は義政から叱責を受けますが、最終的には守護交代が認められました。

享徳4年（1455年）には勝元が、長禄3年（1459年）には通春が再び守護に任じられるなど、教通は守護職を巡り通春と激しく争いました。しかし、勝元と通春が対立すると、勝元は細川賢氏を伊予守護に任命。大内教弘・政弘父子が通春を支持して伊予に侵攻したため、教通は蚊帳の外に置かれることになります。

応仁元年（1467年）に応仁の乱が勃発すると、通春は大内政弘と連携して西軍に味方します。教通は当初静観していましたが、西軍が通春を伊予守護に任じたため、細川勝元の誘いに応じて東軍に味方し、通春に対抗しました。

文明5年（1473年）に勝元が亡くなると、教通は伊予守護に任命されます。文明11年（1479年）には、阿波守護・細川成之の次男・義春が伊予に攻め込んできますが、通春と和睦し国内の諸豪族と連携して撃退しました。

文明14年（1482年）に通春が没すると、子の通篤と争いますが、伊予の主導権を掌握し予州家を圧倒しました。その後出家し、道治、道基と改名しています。

明応9年（1500年）に湯築城で没し、子の通宣が跡を継ぎました。河野教通は、室町幕府の権力闘争や国内の混乱に翻弄されながらも、伊予の守護大名として生き抜いた人物です。彼の生涯は、当時の社会情勢や武将たちの生き様を今に伝える貴重な исторический materialと言えるでしょう。

参考文献

愛媛県編『愛媛県史 古代II・中世』愛媛県、1984年
石野弥栄「守護大名河野氏と応仁の乱」（『国史学』95号、1975年）/改題所収:「室町期河野氏の分裂と細川氏・室町幕府」石野『中世河野氏権力の形成と展開』（戎光祥出版、2015年）

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