油津港

油津港

油津港は、宮崎県日南市にある太平洋に面した港湾で、古くは「油之津」とも呼ばれていました。重要港湾に指定されており、南東に開けた入り江で、東側には大節鼻という岬が突き出ています。南方海上には小場島と大島が並び、自然豊かな景観を作り出しています。港湾管理者は宮崎県で、輸送拠点（防災拠点港）としての役割も担っています。

主な施設

油津港一帯は、2018年にみなとオアシスに登録され、「みなとオアシス油津」として観光拠点にもなっています。日南市観光案内所が代表施設となっており、観光客にとって便利な場所です。

堀川運河

江戸時代に飫肥藩によって掘削された堀川運河は、地域の特産品である飫肥杉を輸送するために利用されました。現在も石造りのアーチ橋などが残っており、歴史を感じさせる観光名所となっています。

宮崎海上保安部

1948年に油津海上保安署として設置され、後に油津海上保安部、そして現在の宮崎海上保安部へと改称されました。海上保安庁の重要な拠点として、海の安全を守っています。

門司税関細島税関支署油津出張所

税関業務を行う出張所が設置されています。

チップヤード

港の南東部には、製紙工場で使用する木材チップの集積所があります。油津港では、木材チップや紙製品が主要な貨物として取り扱われています。

歴史

油津港の歴史は古く、百済の王が漂着したという伝説も残っています。遣唐使の時代から貿易の中継地として利用され、戦国時代には伊東氏と島津氏が港の支配権を争いました。南蛮貿易の時代にはポルトガル人の海図にも記載され、寄港地の一つとして重要視されました。

江戸時代に入ると、油津港は飫肥藩の領地となり、飫肥杉の積出港として栄えました。木材運搬のために掘削された堀川運河は、1686年に完成しています。当時、日向灘は海上交通の難所であり、天候調査のために多くの人が滞在し、港町として賑わいました。歌川広重の『六十餘州名所圖會』にも描かれています。

明治時代には近畿地方への直行航路が開かれ、南九州の輸送拠点としての地位を確立しました。20世紀初頭にはブリ漁が盛んになり、その後マグロ漁で大きな賑わいを見せました。この時期には、防波堤や岸壁の整備も進められました。太平洋戦争中には、特攻兵器「回天」が配備されたこともあります。

1954年の台風では、港内の船が多数沈没する被害を受け、これをきっかけにテトラポッドが初めて使用された外洋防波堤が整備されました。1960年にはチリ地震津波により被害が発生しましたが、その後、復旧が進められました。1963年には港の東側に石油基地が建設されました。

関連項目

日本の港湾一覧#宮崎県

脚注

参考文献

日南市産業活性化協議会編 『油津 −海と光と風と−』 鉱脈社、1993年。
日南市史編さん室編 『日南市誌』 日南市、2005年。

外部リンク

宮崎海上保安部
* みなとオアシス油津

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