治部省

治部省（じぶしょう）について

治部省は、日本の律令制において八つの省の一つであり、古くは「おさむるつかさ」とも呼ばれました。唐の制度においては、礼部に相当する機関であり、主に外事、戸籍、儀礼全般を担当していました。治部省の職掌は、姓氏に関する訴訟の処理や、結婚、戸籍関連の管理、僧侶や仏事に対する監督、さらに雅楽や山陵の監視、外国使節の接待など多岐にわたりました。

職掌の変遷

しかし、平安時代に入ると治部省の業務は徐々に変化していきました。特に894年には、菅原道真の提案により遣唐使が廃止され、中国と正式な国交が断たれたため、外国使節の接待など旧来の役割は失われました。その後、戸籍制度の解体に伴い、戸籍関連の業務も遂行が難しくなり、治部省の主な職務は僧侶や仏事、雅楽、山陵に関する監督に特化していくこととなりました。

職員の構成

治部省には長官として治部卿が置かれ、この地位は正四位下に相当しましたが、公卿が兼任することが多くありました。その一例として、藤原兼家が藤原兼通との権力争いに敗れ、右大将から治部卿に降格された事件が記録されています。また、大輔、一人、少輔、一人、大丞、二人、少丞、二人、大録、一人、少録、三人といった具体的な人員配置も存在しており、後に権官も設置されました。

その他の機関

治部省には、姓氏関係の訴訟を取り扱う解部が設けられており、これは刑部省の解部とは異なります。また、治部省には他にも様々な職掌が存在し、雅楽に関理する雅楽寮や、外交に関する玄蕃寮、さらには陵墓を管理する諸陵司が後に諸陵寮へと昇格しました。その他にも、喪儀司が治部省の一部として存在していました。

関連項目

治部省は日本の官制の中において重要な役割を果たしていたため、治部卿の一覧や八省卿のリストといった関連する項目も多く見受けられます。治部省の業務は、時代とともに変化しながらも、律令制の運営に欠かせない存在であり続けました。

もう一度検索