諸陵寮

諸陵寮：古代から現代まで続く天皇陵の管理機関

諸陵寮（しょりょうりょう）は、日本の古代から現代まで続く天皇陵の管理を担ってきた機関です。律令制下では治部省に属し、天皇陵墓の管理、皇族の葬儀、関連する儀式などを主な業務としていました。

律令制時代の諸陵寮

律令制において、諸陵寮は当初「諸陵司（みささぎのつかさ）」として設置されました。その後、729年（神亀6年/天平元年）に「寮」に昇格し、組織としての規模を拡大しました。

その職務は、天皇陵墓の維持管理が中心でした。具体的には、陵墓を守る陵戸（みささぎのへ）の管理や、陵墓周辺の警備などが含まれていました。また、皇族の葬儀に関する儀式や、陵墓にまつわる様々な祭祀なども担当していました。

特筆すべきは、不遇であった皇族の陵墓に、諸陵寮の役人を派遣して慰めるという慣習です。これは、凶事が起こった際に、死者の祟りとして解釈され、それを鎮めるための措置でした。早良親王の陵墓への派遣が有名です。

諸陵寮の職員は、頭（かしら）、助（すけ）、大允（おおのじょう）、少允（しょうのじょう）、大属（おおのぞく）、史生（ししょう）、使部（しぶ）、直丁（じきちょう）、陵戸、守戸など、多様な職種から構成されていました。それぞれの職務は、陵墓の管理、儀式への参加、文書管理など、多岐に渡ります。

明治政府における諸陵寮の変遷

明治維新後、諸陵寮は1869年（明治2年）に再興されました。当初は神祇官に属していましたが、その後、神祇省、教部省と移管され、その組織形態や名称は幾度となく変化しました。

1871年（明治4年）には神祇省に統合されましたが、1872年（明治5年）には教部省に「諸陵課」が設置され、再び陵墓管理の業務が行われるようになりました。その後も、教部省から宮内省へと移管され、1878年（明治11年）には「宮内省御陵墓掛」が設置、さらに1883年（明治16年）には「御陵墓課」に改称されました。

そして、1886年（明治19年）に、諸陵寮はついに再興を果たします。これは、明治政府が天皇陵の管理体制を整備する中で、諸陵寮の重要性を再認識した結果と言えます。

明治政府においては、歴代の陵墓の調査も行われ、その結果に基づいて、大友皇子、大炊王、懐成親王のそれぞれに、弘文天皇、淳仁天皇、仲恭天皇の諡号が追贈されました。

現代への継承

明治時代以降、諸陵寮は宮内省、そして現在の宮内庁書陵部にその役割を受け継がれ、現在に至るまで天皇陵の管理を継続しています。宮内庁書陵部は、歴史的文書の保管だけでなく、天皇陵墓の維持管理という重要な役割を担い、日本の歴史と伝統を未来へと繋いでいます。

まとめ

諸陵寮は、古代から現代まで続く長い歴史を持つ、天皇陵管理の機関です。律令制下での確立から、明治政府における再興、そして現代の宮内庁書陵部への継承まで、その歴史は日本の政治体制や社会構造の変化を反映しています。天皇陵墓の維持管理という重要な役割を担ってきた諸陵寮は、日本の歴史と文化を理解する上で欠かせない存在です。

もう一度検索