泉久雄

泉久雄

概要

泉久雄（いずみ ひさお、1928年4月14日生 - 2017年4月29日没）は、日本の法学界において、特に民法および家族法、とりわけ相続法の分野で顕著な功績を残した研究者です。専修大学名誉教授の称号を持ち、東北大学からは法学博士号を授与されました。法学者として、教育者として、また公職者として、日本の法制度の発展と後進の育成に大きく貢献しました。

経歴

宮城県伊具郡角田町に生まれた泉久雄氏は、旧制山形高等学校で学びました。戦後、東北大学法学部へ進学し、1951年に同大学を卒業。その後、東北大学法学部の助手を務め、研究者としての第一歩を踏み出しました。1954年には専修大学法学部に移り、助教授に就任します。専修大学では着実にキャリアを重ね、1961年には同学部教授へと昇任しました。

学術的な探求も精力的に行い、1963年には「相続人の責任に関する研究」と題する論文で東北大学より法学博士の学位を取得しています。これは、専門分野である相続法における氏の深い知見を示すものです。

大学での教育・研究活動と並行して、様々な公職も歴任しました。1972年には東京家庭裁判所の参与として実務に関わり、法曹界との連携を深めました。また、法制審議会の民法部委員として、民法改正に関する議論にも積極的に参画しています。

専修大学においては、教育行政にも携わりました。1983年には法学部長を務め、学部運営に貢献。さらに学校法人専修大学の理事としても大学全体の発展に尽力しました。1993年には大学院法学研究科長に就任し、大学院教育の充実に力を注ぎました。

この間、1997年には放送大学の客員教授としても教鞭を執り、広く市民への法教育にも貢献しました。1999年に専修大学を定年退職し、長年の功績を称えられ専修大学名誉教授の称号が贈られました。

研究と業績

泉久雄氏の主な研究対象は家族法、特に相続法です。この分野においては、長年にわたる研究活動と多数の著作を通じて、日本における第一人者としての地位を確立しました。相続制度に関する理論的分析や実務的課題への提言は、多くの研究者や実務家に影響を与えました。

大学を退いた後も、研究への情熱は衰えることなく、精力的に執筆活動を続け、その学識を世に問い続けました。

教育活動

法学者の中川善之助氏に師事した泉久雄氏は、自身もまた優れた教育者として多くの後進を育てました。専修大学を中心に、多くの学生に法学の魅力を伝え、研究者や実務家として社会に送り出しました。氏の薫陶を受けた弟子の中には、家永登氏（専修大学教授）、高橋敏氏（国士舘大学教授）、小野憲昭氏（北九州市立大学教授）、久々湊晴夫氏（北海学園大学教授）など、大学教授として活躍する研究者も多数います。

主要著書

泉久雄氏の主な著作には以下のようなものがあります。

• - 『相続法』（中川善之助と共著、法律学全集24、有斐閣）初版が1964年に刊行され、2000年には第四版が出るなど、長く版を重ねた定評ある著作。
• - 『演習　親族・家族法』（法学教室選書、有斐閣）初版1983年、新版1989年。
• - 『判例で学ぶ家族法入門』（法学教室選書、有斐閣、1991年）
• - 『親族法論集』（学術選書16、信山社出版、1991年）
• - 『相続法論集』（学術選書、信山社出版、1991年）
• - 『親族法』（有斐閣法学業書、有斐閣、1997年）
• - 『家族法の研究』（有斐閣、1999年）
• - 『家族法読本』（有斐閣、2005年）

これらの他にも多数の著作があり、家族法・相続法研究における氏の貢献の大きさを示しています。

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