泊瀬王

泊瀬王 - 飛鳥時代の皇族

泊瀬王（はつせのおおきみ）は、飛鳥時代に生まれた皇族であり、厩戸皇子の次男です。彼の生涯は、推古天皇の崩御を契機として展開された皇位争奪戦に深く関わっています。その名は、泊瀬仲王や長谷王とも伝わることがあります。

歴史的背景

日本の飛鳥時代は、皇族間の権力争いが絶えず行われていた時期でした。推古天皇が崩御したのは推古天皇36年、すなわち628年。この時、皇位継承を巡り敏達天皇の孫・田村皇子（後の舒明天皇）を推す蘇我蝦夷と、用明天皇の孫・山背大兄王を支持する境部摩理勢が勢力を二分して争いを繰り広げました。

泊瀬王は、兄の山背大兄王を支持し、摩理勢を自宅の泊瀬王宮に隠すなど、彼の後ろ盾として活動していました。しかし、その後、山背大兄王の説得を受けた摩理勢は泊瀬王宮を退去し、さらに泊瀬王は病に倒れ、間もなくこの世を去ることになります。この一連の出来事は、当時の皇族の複雑な人間関係を反映していると言えるでしょう。

泊瀬王宮とその所在

泊瀬王は、斑鳩の地に泊瀬王宮、またの名を飽浪葦牆宮（あくなみのあしがきのみや）を建立しました。この宮殿は、彼の政略や力を象徴する場所であり、また彼が管理していた泊瀬部（長谷部）の一部とも見なされています。泊瀬王宮は、後の歴史においても重要な意味を持つ拠点として機能した可能性があります。

系譜と家族

泊瀬王の家族についても注目する点が多いです。彼の父は厩戸皇子、母は膳部菩岐々美郎女です。また、妻には佐富女王があり、彼らの間には葛城王という男子と、多智奴女王という女子が生まれています。さらに、彼は大伴奴加之古連（大伴糠手子）の娘である古氐古郎女と結婚し、ここから波知乃古王や錦代王という子供も生まれたとされています。ただし、これらの記録は類似した名前の崇峻天皇との混同があるとも指摘されています。

結論

泊瀬王は、飛鳥時代における重要な皇族の一人であり、歴史的な事件に多大な影響を与えた存在です。彼の支持した皇位継承戦争や、泊瀬王宮の設立は、当時の政治的な動向を理解する上で欠かせない要素となっています。彼の生涯は、飛鳥時代の皇族間の権力闘争や、社会の変遷を物語る重要な一章と言えるでしょう。

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