法名 (浄土真宗)

浄土真宗における法名の意義と授与の流れ

浄土真宗において「法名」は、仏弟子となった証明です。名告りの際には故人に贈られる名前と誤解されがちですが、実際には生存中に阿弥陀如来に帰依することを誓い受け取るものです。この点で、「法名」は「戒名」と異なり、浄土真宗での信仰の証とされています。戒名が一般的には出家者に与えられるのに対し、法名は全ての信者に授けられます。

戒名との違い

浄土真宗では、「戒」を守ることができない凡夫であるため、受戒を受けません。そのため、信者は「戒名」ではなく「法名」を持ちます。この考え方は、「阿弥陀如来の誓願によってこそ救われる」という教義に根ざしています。浄土真宗は、在家仏教であり、僧侶も出家せずに教えを広めています。

法名の授与

一般門徒は、寺院で行われる「帰敬式」において法名を授かります。ここでは本尊である阿弥陀如来の前で、たいていの場合は法主から名前を授けられます。たまに、法嗣が代行することもあります。また、僧侶は本山で行われる得度式で法名を受け取ります。

帰敬式では、剃髪の儀式は行われず、刃の無い剃刀で頭をなでるだけの儀式が実施されます。この儀式は、法然の教えに由来する「勝他」「利養」「名聞」の言葉にちなみます。一方、得度式では剃髪が必要となります。

最近では、手次寺でも法名を授かることが可能になっていますが、本山での授与が推奨されています。

法名の起源

浄土真宗の開祖である親鸞は、承元の法難によって流罪にされます。その後、彼は自らを「愚禿釋親鸞」と名乗り、僧侶でもあり非僧でもある立場から教えを広めました。この事が法名の概念の基礎となっています。

法名の選定方法

法名は、仏弟子であることを示す「釋」の字を冠し、主に正依の聖教から2文字が選ばれます。宗派や手次寺の住職によって異なる場合があり、住職が選定することで俗名の一文字を含められることもあります。具体的には、周期的に発行される本願寺手帳には、「院号及び法名の授与に関する注意」というページがあり、法名の授与に関するガイドラインが定められています。

各派における法名の違い

浄土真宗にはいくつかの派が存在しますが、それぞれ法名に特徴があります。例えば、浄土真宗本願寺派では男女ともに「釋○○」という形式で名付けられます。真宗大谷派の場合、男性は「釋○○」ですが、女性は「釋尼○○」となり、「尼」の字は女性を示す語尾です。真宗高田派では「釋+道号（二字）+法名（二字）」の形式を取っています。

院号と位号

法名の前に付ける「院号」は、寺院建立に貢献した者に送られる名です。近年では、本山や手次寺の護持に貢献した信者に対しても院号が授与されることがあります。さらに、位号や置き字といった特別な呼称は正式には用いないことが多いです。

以上のように、法名は浄土真宗において深い意味を持ち、授与されるプロセスにも多くの慣習が存在することが理解できるでしょう。これらの教義や儀式を通じて、信者たちは仏の教えに従った生き方を目指しています。

もう一度検索