法性寺 (逗子市)

法性寺（ほっしょうじ）

神奈川県逗子市久木に位置する法性寺は、日蓮宗の寺院であり、豊富な歴史と深い信仰が息づいています。この寺院の山号は猿畠山（えんばくさん）と称され、日蓮がかつて松葉ヶ谷法難の際に白猿に導かれて隠れたと伝えられた岩窟に建立されました。また、日蓮六老僧の一人である日朗の墓所もここにあります。

歴史の概要

法性寺の歴史は深く、建長5年（1253年）に日蓮が安房国清澄寺から鎌倉に移る際に始まります。松葉ヶ谷に草庵を構え布教活動を行っていた日蓮は、文応元年（1260年）に『立正安国論』を北条時頼に献じたことから、浄土教信者たちによって襲撃され、草庵が焼き討ちに遭いました。この時、白猿に導かれた日蓮は、山中の岩窟に隠れることで難を逃れたとされ、彼はこれを山王権現の加護だと感じ、計り知れない感謝の念を弟子たちに伝えました。

元応2年（1320年）には日蓮の高弟である日朗が死去し、遺体は松葉ヶ谷の安国論寺で荼毘に付され、岩窟の近くに埋葬されました。翌年、朗慶により法性寺がこの地に創建され、南北朝時代の貞和元年（1345年）には本圀寺と共に京都へ移転しました。この移転は勅命に基づくもので、当初は神光山の地に境内を構えましたが、その後豊臣秀吉の命により京極の地に移動しました。

法性寺は延宝3年（1675年）と元禄4年（1691年）の2回火災に見舞われ、最終的に元禄6年（1693年）に現在地へと移転しました。その後、慶長8年（1603年）には自証院日詔が住職となり、老僧たちの信仰の場として再興されました。江戸時代に著された『新編鎌倉志』には、「御猿畠山 附山王堂跡 法性寺」としてその由来が紹介されています。

境内の見所

法性寺の境内にはいくつかの重要な建物や場所があります。特に目を引くのは山門で、ここには「猿畠山」の山号や白猿の彫刻が施されています。また、1921年に建立された石柱には「日蓮大聖人焼打御避難之霊跡」と刻まれ、日蓮の伝説を伝えています。

山上に位置する祖師堂は、1924年に建てられ、法華経勧持品第十三を読経する日蓮の等身大坐像が安置されています。さらに、祖師堂の向かい側には日朗菩薩の御廟所があり、石塔が納められています。この周辺には、日蓮が松葉ヶ谷法難の際に隠れた場所として伝わる「御避難の法窟」があります。この岩窟には題目が刻まれた五輪塔が祀られています。

他にも、日朗の供養塔や山王権現祠が位置しており、山王信仰の場としても知られています。特に山王権現は日蓮が鎌倉に入る際に拝んだ社として、古来から信仰を集めています。

アクセスと交通

法性寺へは、JR横須賀線の逗子駅から徒歩20分の距離にあります。また、京浜急行バスを利用することで、より便利にアクセスできます。バスは「久木五丁目」停留所や「法性寺」停留所で下車し、徒歩数分で到着できます。

このように法性寺は、歴史的な背景と共に現代でも多くの信者や観光客に愛されている場所です。日蓮宗の信仰の中心として、また文化財としての価値を持っています。

もう一度検索