法明寺 (豊島区)

法明寺

法明寺は、東京都豊島区南池袋に位置する日蓮宗の寺院です。山号を威光山と称し、飛地境内には鬼子母神堂があります。古くは真言宗や天台宗であったとも伝えられ、吾妻鏡に記された威光寺に比定されていましたが、その後の調査で否定されました。鎌倉時代には、日蓮の弟子である日源によって日蓮宗に改宗され、威光山法明寺と改称されました。

歴史

法明寺の歴史は古く、810年（弘仁元年）に威光寺として創建されたとされます。1312年（正和元年）には日源によって日蓮宗に改宗し、法明寺と改められました。室町時代には鬼子母神が安置され、門前町が形成されました。

しかし、1665年（寛文5年）には不受不施派の弾圧により、当時の住職である日了が流罪となるという苦難も経験しました。近現代においても、1923年（大正12年）の関東大震災、1945年（昭和20年）の戦災により、それぞれ本堂が倒壊、全山焼失するという大きな被害を受けましたが、その都度再建を果たし、現在の姿に至っています。

年表

810年（弘仁元年）：威光寺として創建。
1312年（正和元年）：日源が日蓮宗に改宗し、法明寺と改称。
1665年（寛文5年）：不受不施派の弾圧により、法明寺15世・日了が流罪。
1923年（大正12年）：関東大震災により、本堂が倒壊。
1932年（昭和7年）：本堂を再建。
1945年（昭和20年）：戦災により、全山焼失。
1959年（昭和34年）：本堂を再建。
1963年（昭和38年）：書院を再建。
1968年（昭和43年）：山門、鐘楼堂を再建。

諸堂

法明寺には、本堂をはじめ、威光山稲荷堂、安国堂（祖師堂）、鬼子母神堂などがあります。また、塔頭として観静院、玄静院、蓮光院、真乗院があります。

本堂

法明寺の中心となる建物です。

威光山稲荷堂

倉稲魂命を祀ります。

安国堂（祖師堂）

日蓮上人を祀ります。

鬼子母神堂

法明寺の飛地境内にあり、鬼子母神を祀るお堂で、詳細は後述します。

文化財

法明寺には、国指定の重要文化財である雑司ヶ谷鬼子母神堂をはじめ、東京都指定文化財も複数所蔵しています。

重要文化財（国指定）

雑司ヶ谷鬼子母神堂: 本殿、相の間、拝殿からなる複合建築で、附として宮殿、妙見宮、棟札があります。本殿は広島藩主浅野光晟の正室の寄進により建立され、安芸地方の社寺建築の特徴が見られます。拝殿は元禄13年（1700年）の建立で、華やかな装飾が特徴です。鬼子母神堂は、安産祈願で庶民の崇敬を集めました。建立年代が明確であり、江戸時代の大名家による寺社造営状況、幕府による建築規制への対応を示す重要な文化財です。2016年7月25日に指定されました。

東京都指定文化財

板絵着色大森彦七図: 鳥山石燕筆。
板絵着色三人静白拍子図: 二代目鳥居清満筆。
雑司ヶ谷鬼子母神のイチョウ

鬼子母神堂

鬼子母神堂は、法明寺の飛地境内（豊島区雑司が谷3丁目）に位置し、永禄4年（1561年）に山村丹右衛門によって発見された鬼子母神像が祀られています。天正6年（1578年）に現在の地に草堂が建立されました。正式な表記では「鬼」の上の点がない字体が用いられます。

諸堂

鬼子母神堂には、中心となる堂宇のほか、武芳稲荷堂、法不動堂、妙見堂、大黒堂があります。

鬼子母神堂: 拝殿・相の間・本殿が一体化した権現造の建築で、本殿は寛文4年（1664年）に広島藩主浅野光晟の正室・満姫の寄進によるものと判明しています。拝殿と相の間は元禄13年（1700年）の建立です。本殿内部には、禅宗様須弥壇の上に宮殿が置かれています。
武芳稲荷堂: 倉稲魂命を祀り、かつてこの地が稲荷の森と呼ばれていたことを示しています。
法不動堂: 金剛不動尊を祀ります。
妙見堂: 妙見菩薩を祀り、鬼子母神堂本殿の背面に接して祀られています。
大黒堂: 大黒天を祀ります。

旧末寺

日蓮宗は昭和16年に本末を解体したため、現在は旧本山、旧末寺という呼び方がされています。

法明寺の旧末寺には、平等山観静院、紫雲山玄静院、妙音山蓮光院、合掌山真乗院（以上、塔頭）、長慶山蓮成寺、妙永山本納寺、法光山本覚寺、松久山妙蓮寺があります。

交通

都電荒川線：鬼子母神前停留場下車
東京地下鉄副都心線：雑司が谷駅下車
JR：池袋駅、目白駅から徒歩約15分

清土鬼子母神堂

文京区目白台には、鬼子母神が出現した旧跡である清土鬼子母神堂があります。ここは、法明寺の鬼子母神が最初に発見された場所です。

関連情報

参考文献

『新編武蔵風土記稿』
『江戸名所図会』

関連文献

『江戸名所図会』

関連項目

難波田憲利
麗わしき鬼
すすきみみずく
歌舞伎町の女王
真源寺（入谷鬼子母神）
法華経寺（中山鬼子母神）

外部リンク

法明寺公式サイト
鬼子母神公式サイト

法明寺は、歴史と文化が深く息づく場所です。訪れる人々にとって、その静謐な雰囲気の中で、心の安らぎと歴史の重みを感じることができるでしょう。

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