洗足学園魚津短期大学

洗足学園魚津短期大学（略称：魚津短大）は、富山県魚津市に本部を置いていた日本の私立短期大学です。学校法人洗足学園によって1980年に設立され、2002年にその歴史を閉じました。開学当初は音楽科と文科の2学科4専攻でスタートし、入学総定員は200名でした。しかし、2000年度の学生募集を最後に停止し、2002年 3月31日をもって閉校、同年5月29日に正式に廃止されました。

建学の精神

本学は「理想高遠、実行卑近（りそうこうえん、じっこうひきん）」を建学の精神として掲げていました。これは、高い理想を持ちながらも、日々の身近な実践を大切にする姿勢を示しています。

教育および研究

設置学科は音楽科と文科でした。音楽科は器楽専攻と声楽専攻を有し、特に富山県内では唯一の音楽科として、音楽分野の専門教育を行いました。音楽療法に関する科目もカリキュラムに含まれていました。文科には英文専攻と国文専攻が設けられ、人文科学系の専門知識と教養を深める教育が行われました。

開学後の需要の変化などに応じ、学科の定員や専攻名称の変更も実施されました。例えば、音楽科ピアノ専攻は器楽専攻に改称されたほか、文科の定員が増加、後に一部専攻の定員が調整されるなどしています。

研究活動としては、『魚津国文』や『魚津シンポジウム』などの研究成果が発表されていました。

沿革

洗足学園魚津短期大学の設立は、魚津市からの土地寄贈に始まりました。1979年に建設予定地の土地の寄贈を受け、同年12月には職員宿舎用の土地建物も魚津市から取得しました。翌1980年 1月8日に短期大学の設置が文部省（当時）より認可され、職員宿舎の改修・増築を経て、同年4月1日に校舎が竣工し、開学に至りました。開学当初は音楽科（ピアノ、声楽専攻）と文科（英文、国文専攻）で構成されました。その後、体育館や学生寮も順次竣工し、施設が整えられていきました。1989年には音楽科のピアノ専攻が器楽専攻に名称変更。時代の流れとともに、学科や専攻の入学定員にも変更が加えられました。しかし、社会情勢の変化などにより、2000年度の募集を最後に学生の受け入れを停止し、2002年 3月31日に閉校、同年5月29日に正式に廃止となりました。

学生生活

学生生活は、多様なクラブ活動やサークル活動によって彩られていました。体育系では卓球、バスケットボール、テニス、バドミントン、野球、ソフトボールなど、文化系では美術、俳句、音楽療法、軽音楽、ダンス、ボランティア、インターネット、放送、囲碁、将棋、園芸、腹話術、図書館など、幅広い分野の活動が行われていました。学園祭は例年11月に開催され、学生たちの交流の場となっていました。スポーツ活動も盛んで、女子軟式野球部は全国大会でベスト4に進出するなど、顕著な実績を残しました。女子バレーボール部も北陸三県大学リーグ1部昇格など、様々なスポーツイベントで活躍しました。

施設

キャンパスは魚津市天神野新に位置し、本部棟、音楽科練習棟、管理棟、食堂棟、体育館、部室棟、駐輪場などが整備されていました。交通アクセスとしては、JR北陸本線（現在のあいの風とやま鉄道線）魚津駅からバスや短期大学専用のスクールバスが運行されていました。食堂は食堂棟に設けられており、学生に利用されていました。また、敷地内には女子学生向けの学生寮も完備されていました。本学の校舎は、そのデザインが高く評価され、第12回（1981年度）富山県建築賞一般の部に入賞しています。

カレッジマークは、「Senzoku Gakuen」の頭文字である「S」と「G」を組み合わせたデザインが用いられていました。

対外関係と卒業後の進路

国際交流にも積極的で、アメリカやオーストラリアの複数の大学と協定を結んでいました。

卒業生は多岐にわたる分野で活躍しました。文科の学生は一般企業への就職が多く見られましたが、音楽科の卒業生はヤマハや河合楽器製作所などの音楽教室講師、短期大学の研究員など、音楽に関連する専門職に就く人が多い傾向にありました。また、より高度な学びを求めて四年制大学への編入学を選択する学生もおり、文科からは高岡法科大学や金沢学院大学など、音楽科からは洗足学園音楽大学や昭和音楽大学などへ進学した実績があります。

洗足学園魚津短期大学は、短期間ながらも富山県における高等教育の一翼を担い、特に音楽教育においては地域で独自の役割を果たした存在でした。

洗足学園魚津短期大学