洞ノ上浩太

洞ノ上 浩太

洞ノ上 浩太（ほきのうえ こうた）は、1974年3月30日に福岡県飯塚市で生まれた、日本の著名な車いす陸上競技選手です。現在はヤフー株式会社に所属し、国内外の大会で活躍を続けています。

競技との出会い

洞ノ上氏の人生は、2000年に発生したバイク事故によって一変しました。この事故が原因で車いすでの生活を余儀なくされますが、これを新たな挑戦の機会と捉え、2002年に知人の勧めを受けて車いすマラソンを始めました。競技開始からわずか数ヶ月後の同年10月、大分国際車いすマラソン大会のハーフマラソンの部で自身初のレースに臨み、競技者としてのキャリアをスタートさせました。

輝かしいキャリアと主な実績

本格的に競技に取り組むようになった洞ノ上氏は、着実にその実力を伸ばし、数々の国際大会や国内主要レースで優れた成績を収めるようになります。

国際舞台での活躍は、2006年のフェスピックでのマラソン優勝を皮切りに本格化します。2007年にはIAAF世界陸上大阪大会で実施された車いす1500mのエキシビションレースに日本代表として出場し、大きな注目を集めました。

パラリンピックには二度出場しています。初めての出場となった2008年の北京パラリンピックでは、5000mとフルマラソン両種目で5位入賞という快挙を成し遂げました。続く2012年のロンドンパラリンピックでも、マラソンT54クラスで6位に入賞し、世界トップクラスのランナーであることを証明しました。

世界選手権では、2013年の世界選手権陸上競技大会のマラソンT54クラスで3位となり、銅メダルを獲得しています。また、2010年のアジアパラ競技大会では、車いすマラソンT54クラスで金メダルに輝き、アジアの頂点に立ちました。

国内外の主要マラソン大会でも、常に上位争いを演じてきました。特に、世界の六大マラソンとして知られる大会を含む、東京マラソン、ボストンマラソン、ロンドンマラソン、ベルリンマラソン、ニューヨークシティマラソンといった著名なレースで、幾度となく表彰台に上っています。東京マラソンでは複数回2位や3位となり、2015年にはついに優勝を果たしました。ボストンマラソンでは2010年に3位、2014年に2位、ロンドンマラソンでは2010年に4位、ベルリンマラソンでは2010年に2位、2014年に優勝、ニューヨークシティマラソンでは2011年に3位といった実績があります。また、ソウル国際車いすマラソンでは2010年、2012年と二度優勝しています。国内最高峰とされる大分国際車いすマラソンでも、2010年に国内選手として1位（全体2位）となるなど、輝かしい成績を残しています。

さらに、トラック競技においても日本記録を樹立しています。2010年6月にはスイストラックミートで5000mにおいて9分55秒04、同月のスイスオープンナショナルで10000mにおいて19分51秒80の日本記録を樹立しました。また、2011年6月のオンシンゲンマラソンでは、当時のフルマラソン日本新記録を樹立するなど、自身の記録更新にも意欲的に取り組んできました。

ハーフマラソンでも多くの優勝経験があり、釧路湿原全国車いすマラソン（2010年）、リスボンハーフマラソン（2014年）、はまなすハーフマラソン（2014年）、種子島ハーフマラソン（2014年）、鳥取ハーフマラソン（2015年）などで優勝を果たしています。

影響とその他

洞ノ上氏の活躍は、多くの人々に感動と勇気を与えています。スポーツを変える青いチカラや、JANJANニュースなどでその活動が報じられ、2012年にはNHK北九州の番組「北九州×クロス」で「走れ!ロンドンへ」と題して特集が組まれるなど、メディアにもたびたび登場しています。車いすの製作・開発で知られるオーエックスエンジニアリングとの関連も、競技用車いすの進化という側面から注目されます。

不撓不屈の精神で競技に取り組み、世界を舞台に活躍する洞ノ上浩太氏は、日本の車いす陸上競技界において、欠かせない存在としてその名を刻んでいます。

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