津島町

津島町（つしまちょう）

津島町は、かつて愛媛県南予地方に存在した町です。2005年8月1日に宇和島市、吉田町、三間町と合併し、現在は宇和島市の一部となっています。合併後も住所表記に「津島町」の名は残っていますが、「大字」は省略されます。

地理

位置

津島町は宇和島市の南に位置し、南は愛南[[町]]に接していました。宇和海に突き出した由良半島の北側半分が町域でした。

地形

東側は標高500m以上の山間地が広がり、西側は複雑なリアス式海岸が特徴です。海岸線は95kmにも及び、一部は足摺宇和海国立公園に指定されています。平地は岩松川とその支流沿いにわずかに開けています。

歴史

町名の初出は1328年の文献に「津島三か郷」と記されているものです。藩政時代には宇和島藩に属していました。

1889年の町村制施行により、津島村、清満村、北灘村、畑地村、下灘村が成立しました。その後、津島村は岩松村と高近村に分裂し、清満村からは御槙村が分立しました。岩松村は1919年に町制を施行し、岩松町となりました。1938年には岩松町と高近村が合併しています。

1955年、岩松町、清満村、御槙村、北灘村、畑地村、下灘村が合併し、津島町が誕生しました。昭和60年代初め頃には養殖業の発展により人口減少が食い止められました。しかし、2005年、宇和島市との合併により、自治体としての津島町は消滅しました。

行政

合併前の町長は赤松傳雄氏で、合併協議時には曽根貞義氏が首長を務めていました。

平成の市町村合併

津島町は、もともと合併には消極的でした。その理由は、町域が広大で南宇和郡全体に匹敵するほどだったこと、宇和島市の財政難が懸念されたこと、合併協議において行政機構の再編や漁業協同組合の債務問題が表面化したことなどが挙げられます。

宇和島市は、合併前の津島町の行政運営に疑念を示し、一時合併協議から離脱しました。具体的には、財政調整基金の扱い、建設事業の偏り、組織改正、職員退職手当組合の問題、情報開示不足、住民投票の実施などが問題視されました。結果的に、津島町の合併は愛媛県内で最後の市町村合併となりました。

産業

第一次産業

魚類と真珠の養殖が盛んでしたが、近年は停滞気味です。米作も行われていますが、規模は大きくありません。南予沿岸部では珍しく、柑橘栽培はあまり盛んではありません。これは水産養殖業が発達し、より収入を得られる水産業に関心が向いたためと考えられます。林業は小規模です。

第二次産業

電機部品や浄化槽メーカーがありますが、規模は大きくありません。工業適地が少なく、海面養殖業が盛んであったため、工場誘致の必要性が低かったことが要因です。かつては原子力発電所の候補地にもなりましたが、実現しませんでした。

第三次産業

岩松に商店街があり、スーパーマーケットなどが立地しています。町立病院も役場近くにありました。

文化

地域には、農村に伝わるユーモラスな「とっぽ話」や、旧街道沿いの「岩松の町並み」があります。この町並みは、獅子文六の小説『てんやわんや』のモデルにもなりました。

交通

鉄道

鉄道は通っていません。最寄りの駅はJR予讃線と予土線の宇和島駅です。

道路

宇和島道路の津島高田ICと津島岩松ICがありますが、合併前は未開通でした。

一般国道は国道56号と320号が通り、主要地方道や一般県道も整備されています。

バス

宇和島市から岩松営業所までのバス便は頻繁に運行しています。支線は町営バスが運行しています。

名所・旧跡

観光スポット

南楽園: 日本庭園で、都市公園として整備されています。
津島やすらぎの里: 道の駅として温泉施設がありましたが、2023年から建て替えのため休業中です。
岩松の町並み: 旧街道沿いの町並みで、獅子文六の小説のモデルにもなりました。

行事・イベント

津島夏祭り
しらうお＆産業まつり
由良神社夏まつり（和船競漕）

名物・特産品

真珠、しらうお、すっぽん、鯛、はまち、あおさのり、清酒、善助餅（小説『てんやわんや』にちなむ）などがあります。

出身者・ゆかりの人物

獅子文六
土居甫（振付師）
* 山口一彦（ベルグアース創業者）

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