津川城

津川城：越後と会津を結ぶ要衝の城

津川城は、現在の新潟県東蒲原郡阿賀町に位置し、阿賀野川と常浪川という二つの河川によって天然の要害を成す麒麟山に築かれた日本の城です。1965年には新潟県の指定史跡となりました。

歴史

津川を含む東蒲原地域は、地理的には越後国に属していますが、平安時代末期に会津の恵日寺領となった経緯から、明治初期まで会津地方の一部として認識されてきました。この地域が歴史の表舞台に登場するのは鎌倉時代のことです。

建長4年（1252年）、会津佐原氏の一族である金上盛弘が越後進出の足掛かりとして津川城を築城しました。以来、金上氏が代々居城とし、この地を支配しました。戦国時代に入ると、津川城は蘆名氏の越後侵攻の拠点となり、上杉氏との間で激しい争奪戦が繰り広げられました。

天正6年（1578年）に上杉謙信が急死すると、後継者争いである御館の乱が勃発します。当時の城主であった金上盛備は、蘆名盛氏の命を受け、上杉景虎方として越後国蒲原郡に侵攻しました。天正9年（1581年）に新発田重家の乱が起こると、上杉景勝は蘆名盛隆が新発田重家に加担しないよう、林泉寺の住持・宗鶴を会津に派遣し、盛備にも誓書を提出させました。盛備は当初中立を装っていましたが、後に公然と重家を支援しました。

天正15年（1587年）、景勝は蘆名氏からの重家への援助を断つため、金上氏の支城である赤谷城を攻撃しました。盛備は赤谷城救援に向かいましたが、藤田信吉に敗北し、赤谷城は陥落しました。天正17年（1589年）の摺上原の戦いで盛備が討死すると、子の盛実は伊達政宗に降伏し、津川城は政宗に没収されました。その後、津川城は原田宗時に与えられましたが、天正18年（1590年）の奥州仕置によって没収されました。

政宗に代わって会津に入封した蒲生氏郷は、北川忠信を津川城主としましたが、文禄4年（1595年）に氏郷が死去すると蒲生騒動が発生しました。津川城は豊臣家の預かりとなり、蒲生家中で死傷者が出る事態に発展すると、大老の上杉景勝が城将を派遣し、不測の事態に備えました。その後、津川城を含む東蒲原が正式に景勝に与えられると、藤田信吉が城主となりました。関ヶ原の戦いの直前の慶長5年（1600年）に信吉が上杉家を離れて徳川家康の下に逃れると、津川城には鮎川帯刀が配置されました。

関ヶ原の戦いの後、会津には蒲生氏郷の子・秀行が復帰し、岡重政が城主となりました。岡重政は同僚の三春城主であった蒲生郷成を追い落として実権を掌握しましたが、秀行の死後に重政が処刑され、郷成の遺児である蒲生郷喜兄弟の三春城復帰が認められると、それまで三春城代を務めていた蒲生郷治が津川城に移されました。

寛永4年（1627年）、加藤嘉明が蒲生氏に代わって会津に入封した際、幕府の命令により津川城は廃城となりました。

遺構

現在、津川城には以下の遺構が残っています。

出丸下石垣
二の曲輪跡：「史跡津川城 二の曲輪跡」の石碑が建てられています。
本丸跡：「史跡津川城 本丸跡」の石碑と、隣には小さな旧石碑があります。
本丸背後の堀切

周辺施設

麒麟山公園案内板
金上稲荷：由来が書かれた説明板があります。

支城

赤谷城：小田切氏が守る支城。会津と阿賀北との物資中継拠点として重要な役割を果たしましたが、藤田信吉によって落城しました。

交通アクセス

JR磐越西線・津川駅からバスに乗り「県立病院前」バス停下車
磐越自動車道・津川ICから約5分
麒麟山公園駐車場を利用

津川城は、その歴史的背景と遺構を通じて、戦国時代の越後と会津の勢力争いを今に伝える貴重な史跡です。

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