津軽暖流

津軽暖流の概要

津軽暖流（つがるだんりゅう）、英称ではTsugaru Warm Currentと呼ばれるこの海流は、津軽海峡を西から東へ流れる特徴ある流れです。この海流は津軽海流（つがるかいりゅう）とも称されています。

海流の成立過程

この流れは、対馬海流が津軽海峡の西側で分岐することで生まれます。津軽海峡を越える流れが津軽暖流になり、対馬海流がそのまま北上して宗谷海峡を抜けるものは宗谷暖流と呼ばれています。津軽暖流の流量は対馬海流の約70%を占め、年間の平均流量は約200万立方メートル毎秒とされています。

この海流が生じる理由には、日本海と太平洋の間における水位差があります。日本海側の水位が年間を通じて数十センチメートル高いのですが、その具体的な原因はまだ完全には解明されていません。特に冬の季節においては、日本列島沿岸を南下することが多くなり、夏には襟裳岬の南西約74キロメートル地点に達した後に南下する傾向があります。流速は一般的に1ノットから3ノットの間で推移し、夏の方が流れが強いことが特徴です。また、潮汐の影響が大きく、太平洋は潮位差が大きいのに対し、日本海は小さいため、流速は時間帯によって変動します。

水温と塩濃度

冬季の水温は7℃以上を保ち、夏には最高で22℃にもなることが確認されています。また、流れの中央部の塩分濃度は年間通じて18.75パーミル以上で、さらには塩分濃度は33.9パーミル以上に達します。津軽海峡の最浅部の深さは約130メートルであり、津軽暖流の厚さは約200メートルと推測されており、その下層には冷たい親潮系の水が存在しています。

潮筋の詳細

津軽暖流に関する歴史的な記録として、元文2年に江戸幕府の金山や銀山の調査を行った坂倉源次郎の著作『北海随筆』によると、潮筋は青森県側から竜飛、中ノ汐、白神（白髪）の3つの流れが存在することがはっきりと示されています。島谷良吉の『津軽海峡の史的研究』によれば、これらの流れには以下のような特徴があります。

竜飛

対馬海流から分かれた海流が直接海峡に流入し、大間町や佐井村方面に向かいます。

中ノ汐

海峡の中央部を流れる潮流で、太平洋側の潮の影響で一部が逆流して海峡内に入ってくる潮流です。

白神（白髪）

北上しながらも途中でUターンし、白神岬の西側の陸棚を伝って海峡北側を流れ汐首岬方面に向かいます。

特に汐首岬周辺では、津軽暖流と親潮がぶつかり合い、海洋気象が複雑化するため注意が必要です。また、アメリカ海洋大気庁の衛星観測データによれば、海峡の東口では毎年夏から秋にかけて渦が発生する現象が見られ、この現象は「渦モード」と呼ばれています。

地形への影響

津軽暖流は北海道函館市の函館山を陸繋島とし、亀田半島に位置する函館段丘の千代台の縁に形成された陸繋砂州（トンボロ）の形成においても重要な役割を果たしています。これにより、津軽暖流は周辺の地形形成にも寄与していると言えるでしょう。

参考文献

• - 自治体史や地域の歴史書を通じて、津軽暖流に関する知識を深めることができます。特に、恵山町史や函館市史の編纂記録は、この流れの研究資料となります。また、海流に関する情報は海上保安庁のウェブサイトでも確認できます。

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