浄林寺

浄林寺は、長野県松本市中央に位置する浄土宗の寺院です。山号を清水山、院号を華厳院と称し、本尊には阿弥陀如来を祀っています。

歴史

浄林寺の創建は古く、当初は信濃国筑摩郡林村、現在の松本市里山辺林の地、林城の西側に沿って建てられました。この場所には現在も浄林寺跡の呼び名が残り、石碑が建立されています。当時は広沢寺（龍雲山廣澤寺）が隣寺として存在し、現在もその姿を残しています。

山号と院号である清水山華厳院は、創建当初が華厳宗の寺院であったことを示しています。その後、14世紀に浄土宗へと改宗しました。林城落城後には焼失した記録があり、戦国時代末期に松本藩主石川数正の命によって女鳥羽川近くへ移転しましたが、詳しい年代は不明です。

石川康長の時代には、菩提寺として石川数正の御霊社が祀られていましたが、江戸時代の伊勢町の火災によって焼失しました。その後、藩主となった小笠原秀政が寺領10石を寄進し、寺の復興を支援しました。

現在、浄林寺は松本城下の伊勢町の中程に位置していますが、以前は現在地よりも東側に寺域があり、松本藩主戸田家（戸田松平家）の菩提寺であった全久院（現在の全久院は廃仏毀釈後に再建された寺院）の西側に隣接していました。

江戸時代には、浄雲寺（松本市取出）、慶林寺（同市笹賀）、常照寺（同市村井町）、善立寺（塩尻市）などの末寺を持つ、松本地方における有力な寺院でした。

しかし、明治5年（1872年）の廃仏毀釈によって廃寺となり、その際の建物の一部は旧開智小学校の前身として使用されました。その後、旧開智小学校の隣にかつての観音堂を本堂として再興され、現在に至ります。境内には瘡守稲荷神社も鎮座しています。

文化財

浄林寺には、歴史的価値の高い文化財が残されています。

山門：元禄時代の建造と伝えられており、松本市指定の重要有形文化財に指定されています。市内でも古い寺院の山門の一つとして知られています。
鐘楼：1845年（弘化2年）に建立されたもので、立川流の作です。特に龍の彫刻は、原田倖三郎、倖三父子の手によるものとされています。

交通アクセス

JR東日本松本駅から徒歩約10分

周辺情報

浄林寺の周辺には、以下の観光スポットや名所があります。

松本城
瘡守稲荷神社（浄林寺境内）
松本市時計博物館
四柱神社
里山辺・神田周辺
千鹿頭山
千鹿頭池
自性院

関連項目

松本市の名所・旧跡
松本市の歴史

参考文献

『探訪 信州の古寺 浄土教・日蓮宗』1996年 郷土出版社

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