浅野栄一

浅野 榮一（あさの えいいち）

浅野 榮一は、日本の著名な経済学者であり、ケインズ経済学と近代経済学史を専門としています。彼は1929年1月20日に東京都で生まれ、2020年7月17日に亡くなりました。中央大学の名誉教授として多くの教え子を育て、数々の著作を残しました。

来歴

浅野は東京商科大学（現・一橋大学）を卒業しました。その際、彼の指導教授であった杉本栄一から強い影響を受けました。杉本の下には、伊東光晴（京都大学名誉教授）や佐藤金三郎（横浜国立大学教授）などの著名な研究者も在籍していました。浅野は大学時代にケインズ経済学と同時にマルクス経済学にも関心を持ち、中山伊知郎と杉本の講義を受けながら学びました。

大学を卒業後、彼は1974年に中央大学から経済学博士の学位を取得しました。特別研究生時代には、杉本のゼミで多くの優秀な研究者たちと共に学び、宮川公男、一橋大学名誉教授や玉井龍象（金沢大学名誉教授）、近藤鉄雄（元労働大臣）などの指導も受けました。

学説

浅野は東京商科大学在学中からケインズ経済学の研究に取り組み、特にケインズの「一般理論」の形成に関する研究では第一人者となりました。彼はアメリカのケインジアンに対する批判を展開し、イギリスケインジアンの流動性選好利子率の考え方に近いアプローチを採用しました。

中央大学では経済原論を講義していたものの、その研究領域は非常に広範であり、マルクス経済学だけでなく、ハロッドやスラッファなどの研究にも取り組みました。特に「一般理論」の形成過程や、その思考の歴史に関する研究が高く評価されています。

職歴

浅野は1955年に國學院大學政経学部に専任講師として就任し、1960年からは中央大学商学部の助教授を務めました。その後、1965年には教授に昇進し、1999年3月には定年退官しました。退官後は中央大学名誉教授として研究活動を続けました。

著作

浅野の著作は多岐にわたり、単著だけでも以下のような作品があります。

• - 1963年:『経済学』（中央経済社）
• - 1970年:『景気循環と経済成長』（新評論）
• - 1976年:『ケインズ一般理論入門』（有斐閣）
• - 1987年:『ケインズ『一般理論』形成史』（日本評論社）
• - 1988年:『現代の経済学』（中央経済社）
• - 2005年:『ケインズの経済思考革命』（勁草書房）

また、共著として1993年には伊東光晴らとの共著で『ケインズ』（講談社）を出版しています。その他、多数の翻訳や辞書項目の執筆も手掛けています。

他の学者たちと同様に、浅野はマルクスの『資本論』を引用する際には、青木書店版や長谷部文雄訳を利用していたという特異な点も注目されています。彼の業績は今なお多くの経済学者に影響を与え続けています。

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