浅野秀剛

浅野秀剛：浮世絵研究の第一人者

浅野秀剛氏は、日本の美術史研究において、特に浮世絵研究で卓越した功績を残した研究者です。1950年秋田県能代市に生まれ、独学で浮世絵の研究を深め、その精緻な考証から第一人者として広く知られています。

学究の道の歩み

秋田県立能代高等学校、立命館大学理工学部数学物理学科卒業という理系的な経歴を持つ浅野氏ですが、在学中は古美術研究会の会長を務めるなど、早くから美術への関心を抱いていました。大学卒業後、上京。築地市場でのアルバイトをしながら、日本浮世絵協会（現・国際浮世絵学会）で活動を始めます。学芸員の資格取得を目指し通信教育で学び、34歳で千葉市教育委員会の学芸員となりました。その後、千葉市美術館学芸課長を経て、大和文華館館長、あべのハルカス美術館館長を兼任するなど、美術界の中枢で活躍しました。2007年には「初期浮世絵」に関する研究で学習院大学より博士（哲学）号を取得しています。

多彩な研究活動と著作

浅野氏の研究活動は多岐に渡り、その成果は数多くの著作に結実しています。単著として『錦絵を読む』『葛飾北斎・春画の世界』『菱川師宣と浮世絵の黎明』『浮世絵は語る』『浮世絵細見』など、浮世絵の様々な側面に焦点を当てた作品を発表。これらの著作は、浮世絵研究の深化に大きく貢献するとともに、一般読者にも分かりやすく浮世絵の魅力を伝える役割を果たしています。

さらに、共編著として『原色浮世絵大百科事典』『「喜多川歌麿」展図録』『枕絵 浮世絵揃物』『春情妓談水揚帳』『艶紫娯拾余帖』『国芳』『春信』『歌麿』『写楽』『広重』『北斎』『大江戸日本橋絵巻 「煕代勝覧」の世界』『写楽の意気』『歌麿の風流』『すぐわかる楽しい江戸の浮世絵』『江戸の絵本 画像とテキストの綾なせる世界』『「写楽」in大歌舞伎 ストーリーで楽しむ』など、膨大な数の書籍を世に送り出してきました。これらの作品は、特定の作家や作品に焦点を当てたものから、浮世絵全体の概観を捉えたものまで多様性に富んでおり、浮世絵研究における彼の幅広い知識と深い洞察を示しています。共同研究者には、山口桂三郎氏、吉田伸之氏、辻惟雄氏、鈴木淳氏など、著名な研究者も多く名を連ねています。

美術館館長としての貢献

大和文華館館長、あべのハルカス美術館館長としての活動においても、浅野氏は自身の専門知識を活かし、数々の企画展や展示を成功に導き、浮世絵の魅力を多くの人々に伝えることに貢献しました。美術館運営における彼の経験と知識は、日本の美術界全体の発展に寄与したと言えるでしょう。

まとめ

浅野秀剛氏は、独学で浮世絵研究を極め、第一人者としての地位を確立しました。学芸員、美術館館長としてのキャリア、そして数多くの著作を通して、日本の美術史、特に浮世絵研究に多大な貢献を果たしています。彼の研究は、浮世絵という芸術形式の理解を深めるだけでなく、日本の文化遺産への理解を促進する上で重要な役割を担っています。今後の日本の美術史研究においても、浅野氏の功績は長く記憶されることでしょう。

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