吉田伸之

吉田伸之

吉田伸之（よしだ のぶゆき、1947年7月 - ）は、日本近世史を専門とする歴史学者であり、東京大学名誉教授の称号を持つ人物です。近世都市史研究の第一人者として知られ、特に江戸を中心とした社会構造と空間構造の研究において多大な業績を残しています。東京大学にて博士号（文学）を取得しています。

人物

吉田伸之は、1970年代から近世都市史の研究に携わり、江戸という巨大都市の社会構造と空間構造を主な研究対象としてきました。1990年代以降は、塚田孝とともに近世社会を構成する様々な集団に着目し、身分的周縁論という独自の視点から近世社会の分析を展開しました。この研究は、社会の中で周縁に位置づけられた人々に焦点を当て、彼らが社会全体にどのような影響を与えていたのかを考察するものです。

また、吉田伸之は、近世史の研究にとどまらず、古代から近代に至る都市史研究者との共同研究も積極的に行ってきました。これにより、都市の歴史をより広い視野から捉え、時代を超えた都市の変遷や共通点、相違点を明らかにしようと試みています。

略歴

1966年：都立日比谷高校を卒業
1972年3月：東京大学文学部を卒業
1975年3月：東京大学大学院人文科学研究科修士課程を修了
1975年4月：東京大学文学部助手として勤務
1979年4月：千葉大学教育学部専任講師に就任
1981年1月：千葉大学教育学部助教授に昇任
1985年4月：東京大学文学部助教授として再び東京大学へ
1993年11月：東京大学文学部教授に就任
1995年4月：東京大学大学院人文社会系研究科教授に就任
2012年：東京大学を定年退任し、名誉教授となる

著書

吉田伸之は、数多くの著書や共編著を出版しており、その研究成果は広く社会に共有されています。以下に主な著書を挙げます。

『近世巨大都市の社会構造』（東京大学出版会） 1991
『近世都市社会の身分構造』（東京大学出版会） 1998
『巨大城下町江戸の分節構造』（山川出版社） 2000
『成熟する江戸』（講談社、日本の歴史17） 2002、のち講談社学術文庫
『身分的周縁と社会 = 文化構造』（部落問題研究所） 2003
『21世紀の「江戸」』（山川出版社、日本史リブレット）2004
『伝統都市・江戸』（東京大学出版会） 2012
『都市 江戸に生きる』（岩波新書、シリーズ日本近世史4） 2015

共編著

『日本都市史入門』1 - 3（高橋康夫共編、東京大学出版会） 1989 - 1990
『商人と流通 近世から近代へ』（高村直助共編、山川出版社） 1992
『都市の時代』（中央公論社、日本の近世9） 1992
『都市と商人・芸能民 中世から近世へ』（五味文彦共編、山川出版社） 1993
『近世房総地域史研究』（渡辺尚志共編、東京大学出版会） 1993
『武家屋敷 空間と社会』（宮崎勝美共編、山川出版社） 1994
『近世の社会集団 由緒と言説』（久留島浩共編、山川出版社） 1995
『近世の社会的権力 権威とヘゲモニー』（久留島浩共編、山川出版社） 1996
『境界の日本史』（村井章介, 佐藤信共編、山川出版社） 1997
『浮世絵を読む』1 - 6（浅野秀剛共編、朝日新聞社） 1997 - 1998
『商いの場と社会』（吉川弘文館、シリーズ近世の身分的周縁） 2000
『都市社会史』（佐藤信共編、山川出版社、新体系日本史） 2001
『近世大坂の都市空間と社会構造』（塚田孝共編、山川出版社） 2001
『水産の社会史』（後藤雅知共編、山川出版社） 2002
『大江戸日本橋絵巻 「煕代勝覧」の世界』（浅野秀剛共編、講談社） 2003
『流通と幕藩権力』（山川出版社、史学会シンポジウム叢書） 2004
『水辺と都市』（伊藤毅共編、山川出版社、別冊都市史研究） 2005
『江戸の広場』（長島弘明, 伊藤毅共編、東京大学出版会） 2005
『史料を読み解く2』（森下徹共編、山川出版社） 2006
『寺社をささえる人びと』（吉川弘文館, 身分的周縁と近世社会）2007
『パリと江戸 伝統都市の比較史へ』（高澤紀恵, アラン・ティレ共編、山川出版社、別冊都市史研究） 2009
『伝統都市』全4巻（伊藤毅共編、東京大学出版会） 2010
『山里の社会史』（後藤雅知共編、山川出版社、史学会シンポジウム叢書） 2010
『近世の地域と中間権力』（志村洋共編、山川出版社、史学会シンポジウム叢書） 2011
『伝統都市を比較する 飯田とシャルルヴィル』（高澤紀恵, フランソワ=ジョゼフ・ルッジウ, ギヨーム・カレ共編、山川出版社） 2011 別冊都市史研究
『身分的周縁と地域社会』（塚田孝共編、山川出版社、史学会シンポジウム叢書） 2013
『三都と地方都市』（佐賀朝共編、吉川弘文館、シリーズ遊廓社会） 2013

これらの著書や共編著を通して、吉田伸之は近世都市史研究に多大な貢献をしており、その研究成果は今もなお、多くの研究者や学生に影響を与え続けています。

関連項目

東京大学の人物一覧

参考

* 10 日本史学 教授 吉田 伸之 YOSHIDA, Nobuyuki ほか （東京大学 大学院人文社会系研究科・文学部 日本史学研究室） 2022年9月閲覧

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