浅野進治郎

浅野進治郎

浅野進治郎（あさの しんじろう、1904年2月28日 - 没年不詳）は、昭和期の日本映画・テレビドラマで活躍した俳優です。本名も浅野進治郎であり、時代や出演作品によって浅野信二郎、浅野進二郎、浅野象二郎などの芸名を用いていました。

生涯

浅野進治郎は東京府東京市深川区（現在の東京都江東区深川地区）で生まれ、新劇俳優を目指し、新国劇付属演劇研究所に入所しました。澤田正二郎の指導を受け、1923年8月に同研究所を卒業。同期には草間実、根本淳らがおり、後に金平軍之助が入所しています。卒業後、関東大震災を経験。1924年には水谷竹紫、初代水谷八重子らが設立した第二次芸術座に参加しました。

1929年、日活太秦撮影所に入社し映画デビュー。当初は現代劇に出演し、1931年公開の『暁の唄』では「浅野信二郎」名義で出演しました。1935年末には、マキノ正博が設立したマキノトーキー製作所に参加、「浅野進二郎」と改名し準主役級として活躍しましたが、同社は1937年4月に解散しました。

その後、浅野はゼーオー・スタヂオや協同映画でのトーキー出演を経て、マキノらが移籍した日活京都撮影所へ。1939年公開の『袈裟と盛遠』では「浅野象二郎」と改名しました。戦後初出演作品は、1950年公開の『なやまし五人男』であり、この作品以降、芸名を「浅野進治郎」に固定しました。

1960年代からはテレビドラマにも進出し、1979年頃まで出演記録が確認できます。同年に発行された『日本映画俳優全集・男優編』には、存命中であるとして連絡先が記載されていますが、75歳以降の出演記録は見当たらず、その後の消息は不明です。

芸名について

浅野は、所属する映画会社や出演作品の時代背景に合わせて芸名を使い分けていました。

浅野信二郎：日活太秦撮影所時代
浅野進二郎：マキノトーキー製作所時代
浅野象二郎：日活京都撮影所時代
浅野進治郎：戦後

主な出演作品

浅野進治郎は、映画・テレビドラマ合わせて膨大な数の作品に出演しています。以下に主な作品を記します。

映画

暁の唄 (1931) - 秋夫
松平外記 (1936) - 田沼山城守憲知
丹下左膳 乾雲必殺の巻 第一篇 (1936) - 小野塚鉄斎
加賀見山 (1936) - 佐上兵庫
袈裟と盛遠 (1939) - 嵯峨八郎
宮本武蔵 第一部 草分の人々・第二部 栄達の門 (1940) - 加藤庄兵衛
織田信長 (1940) - 斎藤義龍
宮本武蔵 一乗寺決闘 (1942) - 太田黒兵助
ふるさとの風 (1943) - 高木護郎
なやまし五人男 (1950)
又四郎行状記 鬼姫しぐれ (1951) - 盤城屋庄兵衛
四十八人目の男 (1952) - 片岡源五右衛門
青春航路 海の若人 (1955) - 矢島教授
野口英世の少年時代 (1956) - 父佐代助
東海道四谷怪談 (1959) - 四谷左門
斬る (1962) - 高倉信右ヱ門
青葉城の鬼 (1962)
手討 (1963) - 柴田十太夫
対決 (1963) - 三枝高昌

テレビドラマ

私は貝になりたい (1958) - 少尉
太閤記 (1965) - 穴山梅雪
丹下左膳 (1965-1966) - 作造
ウルトラマン (1967) - 権田博士
鬼平犯科帳 (1969-1970) - 住職、聖天の吉五郎、松島の儀兵衛
大忠臣蔵 (1971) - 藤井又左衛門
天皇の世紀 (1971) - 松平和泉守
ミラーマン (1972) - 貨物船船長
ウルトラマンタロウ (1973) - 紅カオルの祖父
大岡越前 (1971-1979) - 萩原、親爺、与兵衛、重蔵、多七、喜作
水戸黄門 (1973-1979) - 重蔵、多七、利助、林弥平次、佐平、五平、川根屋宇兵衛
破れ傘刀舟悪人狩り (1975) - 榊原帯刀
江戸を斬る (1976-1979) - 奈良屋藤兵、久衛門、徳兵衛
破れ奉行 (1977) - 源兵衛

参考文献

『映画渡世 天の巻 - マキノ雅弘自伝』、マキノ雅裕、平凡社、1977年 / 新装版、2002年 ISBN 4582282016
『日本映画俳優全集・男優編』、キネマ旬報社、1979年10月23日
『映画俳優事典 戦前日本篇』、盛内政志、未来社、1994年8月 ISBN 4624710657
* 『芸能人物事典 明治大正昭和』、日外アソシエーツ、1998年11月 ISBN 4816915133

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