浅野長恒

浅野長恒の生涯

浅野長恒（あさの ながつね）は、万治元年（1658年）に生まれ、享保17年（1732年）に75歳で没した江戸時代中期の旗本です。播磨国赤穂藩浅野家の分家、若狭野浅野氏の出身で、幼名は万千代、通称は長三郎、後に隼人と名乗りました。官位は従五位下、美濃守・壱岐守・市正を歴任しました。

生い立ちと初期の活躍

赤穂藩家老の大石良重の長男として誕生しました。母は赤穂藩主浅野長直の娘であり、母方の血統により長直の養子となり浅野長三郎と改名しました。寛文10年（1670年）には将軍徳川家綱に初めて拝謁しました。翌年の寛文11年（1671年）には、赤穂藩領から新田3000石を分与され、寄合旗本の列に加わりました。

元禄6年（1693年）には幕府御使番に就任し、その後目付として日光山へ派遣されました。同年には布衣の着用を許され、六位相当の地位を得ました。元禄7年（1694年）には目付代として大坂に滞在中に、大和国宇陀松山藩主織田信武が発狂し自殺するという事件が発生し、幕府の命により調査のため宇陀松山藩へ赴きました。元禄12年（1699年）には山田奉行に就任し、元禄13年（1700年）には従五位下・美濃守に叙任されました。

赤穂事件とその後

元禄14年（1701年）、宗家の当主である浅野長矩が吉良義央に刃傷に及んだ事件に連座し、出仕を禁止されました。その後、出仕は許されたものの、山田奉行の職は解任され、将軍への拝謁も禁じられましたが、後に拝謁を許されました。

出仕が許可されると、長恒は又従兄弟にあたる大石良雄の討ち入りに反対し、宗家の広島藩と共に進藤俊式や小山良師らを説得して同志の盟約から離脱させようとしました。しかし、元禄15年（1702年）に赤穂事件が発生し、再び出仕を止められました。

元禄16年（1703年）には出仕を許され、正徳元年（1711年）には堺奉行に就任しました。享保6年（1721年）には紀伊国和歌浦東照宮への奉幣使を務め、その功績により時服三領を賜りました。享保14年（1729年）には高齢を理由に職を辞し、享保17年（1732年）に亡くなりました。法名は良啓、墓所は高輪泉岳寺にあります。

妻は、赤穂城収城を命じられた木下公定の養女でした。子には浅野長豊、大久保忠高、富沢利実、柳沢信孝室らがいます。

居城と屋敷

居城は播磨国赤穂郡相生村若狭野にあった若狭野陣屋で、江戸屋敷は新大橋際（現在の中央区日本橋浜町）にありました。

関連事項

浅野長恒は、旗本札、赤穂藩、広島藩と関連があります。

浅野長恒は、赤穂事件において、討ち入りに反対し同志の切り崩しを図った人物として、歴史に名を残しています。

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