浅野長武 (侯爵)

浅野長武

浅野長武（1895年7月5日 - 1969年1月3日）は、日本の美術史家、政治家であり、華族としても知られています。彼は貴族院侯爵議員と東京国立博物館長を歴任し、日本の美術界に大きな足跡を残しました。

生い立ちと教育

東京市に生まれた浅野長武は、侯爵・浅野長之の息子として育ちました。学習院高等科を経て、1920年に東京帝国大学文学部国史科を卒業。その後、同大学大学院に進み、さらに研究を深めました。父・長之が1940年12月20日に隠居したことに伴い、家督を相続。同年12月28日には侯爵を襲爵し、貴族院侯爵議員に就任しました。貴族院では火曜会に所属し、1947年5月2日の貴族院廃止までその職を務めました。

多彩な活動

1927年、浅野長武は学習院の講師に就任し、後進の育成に努めました。その他、内務省嘱託、帝国学士院嘱託、東京府嘱託、文部省委員、歌御会始読師など、多岐にわたる役職を歴任。また、重要美術品等調査委員会会長、正倉院評議員、国立近代美術館評議員、国立西洋美術館評議員なども務め、文化財の保護と振興に尽力しました。

東京国立博物館長として

1951年、浅野長武は東京国立博物館長に就任しました。在任中は、美術界で大きな話題となる数々の展覧会を開催し、多くの人々を魅了しました。特に注目されるのは、1960年2月29日の浩宮徳仁親王（現・第126代天皇）と1965年12月6日の礼宮文仁親王（現・皇嗣）の「浴湯の儀」において、宮内庁式部官であった前田利建と共に鳴弦の儀を執り行ったことです。この儀式は、皇室の伝統を重んじる象徴的なものであり、浅野長武の文化に対する深い理解と敬意を示すものでした。

著書

浅野長武は、美術に関する深い知識と洞察に基づいた著書も残しています。

『美術道すがら』（講談社、1966年）
『日本美術の流れ』（信濃毎日新聞社、1966年）

これらの著書は、美術史研究における重要な資料であるとともに、一般読者にとっても日本美術への理解を深めるための貴重な手引きとなっています。

親族

浅野長武は、伏見宮博恭王の長女である恭子を前妻に、山階宮菊麿王の長女である安子を後妻に迎えました。長女の頼子は徳川圀斉に嫁ぎ、長男の長愛は山階鳥類研究所の理事長を務めました。次男の芳正は山階芳麿の養子となっています。

参考文献

霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』上巻、霞会館、1996年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
日本近代文学館編『日本近代文学大事典 第1巻』講談社、1977年。
斎藤忠『日本考古学人物事典』学生社、2006年。

関連項目

* 東京大学浅野キャンパス

浅野長武は、美術史家、政治家、華族として、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、日本の文化の発展に大きく貢献しました。彼の業績は、今日においても高く評価されています。

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