浮世絵 女ねずみ小僧

浮世絵 女ねずみ小僧：元禄時代の義賊が活躍する時代劇シリーズ

『浮世絵 女ねずみ小僧』は、1971年から1974年にかけてフジテレビ系列で放送された人気テレビ時代劇シリーズです。全49話に及ぶ物語は、元禄時代を舞台に、昼は常盤津の師匠、夜は義賊・女ねずみ小僧として活躍する主人公・お京（小川真由美）の活躍を描いています。

魅力的なキャラクターと痛快な展開

主人公のお京は、持ち前の機転と軽妙な身のこなしで、悪党たちを出し抜き、庶民を救済する姿が魅力的でした。相棒である男ねずみ・留吉（田中邦衛）とのコンビネーションも絶妙で、コミカルなやり取りも交えながら、毎回スリリングな展開を見せてくれます。

彼らを追う同心・青木兵庫（第1シリーズは近藤洋介、第2シリーズからは橋本功）や岡っ引・新八（高津住男）といった個性的な脇役たちも物語に深みを与え、視聴者の心を掴みました。さらに、お京配下の「小ねずみ」軍団も準レギュラーとして登場し、物語に華を添えていました。

異例な制作体制と企画の誕生秘話

このシリーズは、通常のテレビドラマ制作とは異なる体制で制作されました。広告代理店である電通が放送枠を購入し、制作費を調達するという「持ち込み制作作品」という形態で、制作会社C.A.Lに制作が委託されていました。

企画の発案者は、電通の宮本進氏。宮本氏は、舞台『ご存知鼠小僧・三の替り極付発狂版』で小川真由美氏の演技に感銘を受け、彼女を女ねずみ小僧役に抜擢しました。さらに、『剣』で田中邦衛氏が演じた男ねずみ小僧とのコンビを構想し、この斬新なアイデアを電通に持ち込んだのです。

しかし、当初は「泥棒ものはクライアントのイメージを悪くする」という反対意見が強く、企画は危ぶまれました。しかし、宮本氏は粘り強く交渉し、最終的に企画は承認されることになります。

シリーズの変遷とスタッフ

『浮世絵 女ねずみ小僧』は全3シリーズ制作されました。第1シリーズは1971年10月2日から12月25日、第2シリーズは1972年6月3日から11月11日、第3シリーズは1974年1月5日から3月30日に放送されました。第3シリーズからは制作会社がC.A.Lから三船プロダクションに変更されましたが、宮本氏とC.A.Lは企画・制作協力として参加しました。

スタッフ陣も豪華な顔ぶれが揃っていました。脚本には津田幸夫氏、早坂暁氏といったベテランが参加。監督も中川信夫氏、石川義寛氏など、実力派監督が名を連ねています。

主題歌と関連作品

主題歌「急げ風のように」(平田隆夫とセルスターズ)もシリーズを彩る重要な要素の一つでした。第2、第3シリーズで使用され、1977年に放送された実質的なシリーズ第4弾『ご存知 女ねずみ小僧』では、歌詞を改作した「真夜中の子守唄」(ヒデとロザンナ)が使用されました。

『浮世絵 女ねずみ小僧』の後、小川真由美は『おんな浮世絵 紅之介参る!』で主演を務めました。また、1977年には『ご存知 女ねずみ小僧』が放送され、視聴者の期待に応える形でシリーズが復活しました。さらに、近年では『遠山の金さんVS女ねずみ』シリーズでも女ねずみ小僧が登場しています。

『浮世絵 女ねずみ小僧』は、個性的なキャラクター、痛快なストーリー、そして豪華なスタッフ陣によって生み出された、時代劇ファンにとって忘れられない作品の一つです。その魅力は、今日でも多くの人々を惹きつけています。

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