深曽木の儀

深曽木の儀：皇族男子の成長を祝う儀式

深曽木の儀は、皇族男子が数え年5歳を迎える際に執り行われる、由緒ある皇室の儀式です。古くから伝わる伝統を継承しており、子どもの成長を祝うとともに、将来への希望を込めた神聖な行事と言えるでしょう。

深曽木の儀の起源

この儀式のルーツは、平安時代から公家社会で行われていた髪置きの儀式にあります。髪置きとは、幼児期に剃られていた髪が生え揃った後、その毛先を整える行事のことです。「深曽木」という名称も、この儀式に由来しています。かつては男女ともに数え年3歳から7歳頃に行われていたと伝えられています。

近代における深曽木の儀

現代の皇室においては、男児のみが着袴の儀の後、深曽木の儀に臨みます。昭和39年（1964年）に行われた浩宮徳仁親王（現天皇陛下）の深曽木の儀を例に、その流れを見ていきましょう。

儀式では、童形服に白絹の袴を着用した男児が、檜扇と松・橘の枝を手にして、式場中央に置かれた碁盤の上に立ちます。東宮大夫が櫛と和鋏を用いて、男児の髪を整えます。その後、男児は碁盤上の青石を踏みしめ、「エイッ」と声を上げて碁盤から飛び降りるのです。

青石を踏む行為は禊（みそぎ）の意味を持ち、飛び降りることは大地にしっかりと根付くことを象徴しています。この一連の動作を通じて、幼児から児童への成長を祝うとともに、たくましく成長していくことを願う、象徴的な儀式なのです。

深曽木の儀の後、男児はそのまま宮中三殿を参拝します。これは一般の七五三における宮参りに相当するもので、神々に成長を報告し、今後の健やかな成長を祈願する意味合いが込められています。

儀式で使用される碁盤

深曽木の儀で使用される碁盤は、特別なものです。浩宮徳仁親王の際には、老朽化した碁盤に代わり、前沢碁盤店の3代目碁盤師である前沢銀三氏によって制作された新しい碁盤が日本棋院から献上されました。この碁盤は、その後も深曽木の儀で使用され続けています。

深曽木の儀と七五三

深曽木の儀と七五三の儀式には共通点が見られます。七五三の時期には、神社などで碁盤から飛び降りる「碁盤の儀」が行われることがあるからです。いずれも、子どもの成長を祝い、将来への健やかな発展を祈願する行事であるという点で、共通の理念が感じられます。

まとめ

深曽木の儀は、皇室の伝統と格式が色濃く反映された儀式です。平安時代から続く歴史と、現代に受け継がれる伝統を理解することで、この儀式の持つ意味の深さをより一層感じることができるでしょう。子どもたちの健やかな成長を願う、日本の伝統文化の一端を垣間見ることができる貴重な儀式なのです。

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