淺川組

株式会社淺川組

和歌山県和歌山市に本社を構える株式会社淺川組（あさかわぐみ）は、日本の建設業界において長い歴史を持つ地方ゼネコンです。その起源は1922年（大正11年）に遡り、和歌山県海草郡で港湾荷役および土木建築の請負業として創業しました。

沿革

創業当初は港湾関連の事業に注力しており、1931年には鰈川隧道の建設や和歌山港の捨石工事などを手掛けています。また、この頃には自社で石材運搬用の船舶を建造するなど、海運・港湾土木に強みを持っていました。戦時色が濃くなるにつれて、1937年の丸善石油下津製油所や1940年の住友金属和歌山工場、1941年の東亜燃料工業和歌山工場といった主要施設の建設工事を受注し、事業の幅を広げていきました。特に1940年には沿岸荷役の事業範囲を兵庫や淡路島方面にまで拡大するなど、着実に成長を遂げました。

終戦後の1948年、同社は株式会社へと組織変更を行い、資本金500万円で新たなスタートを切りました。この時、土木建築請負業に加え、港湾運送業や船舶代理店業を正式な事業内容としました。1950年代には、1954年の古座川総合開発における七川ダム建設など、大規模な土木工事も手掛けるようになります。

高度経済成長期に入ると、事業の専門化と拡大が進みました。1963年には船舶関連および不動産部門をそれぞれ子会社として独立させ、浅川組運輸、紀南港湾運輸、近和不動産（後に浅川不動産）を設立。さらに1964年には独自の消波ブロックを開発し、共同コンクリート工業を設立してコンクリート製品事業にも進出しました。1967年には舗装部門を淺川舗道（現・淺川道路）として分社化するなど、関連会社を設立することでグループとしての事業領域を拡大・深化させていきました。

事業拠点の展開も積極的に行われました。1965年には大阪営業所を支店に昇格させ、本社も和歌山市内に新社屋を建設。1969年には東京営業所を支店化し、高松、鹿島、水戸に営業所を開設しました。特に高松営業所は1973年に四国支店へと昇格しています。

経営基盤の強化も図られ、1973年には大阪証券取引所の市場第二部に上場を果たしました。その後も資本増強を重ね、1990年には市場第一部銘柄に指定されるなど、企業の信頼性と知名度を高めました。技術開発にも力を入れ、1979年には大型旋回起重機船、1981年には超大型杭打船を建造し、海上土木工事における施工能力を強化。1986年には大型鋼管杭打工法に関する位置システムを開発するなど、独自の技術蓄積を進めました。また、1984年には電算室をアサカワコンピューターシステムとして独立させ、IT化への対応も行っています。

しかし、バブル経済崩壊後の建設不況の影響を受け、1998年に会社更生手続の開始を決定する困難な時期を迎えました。その後、更生計画の認可を経て経営再建を進め、2006年には更生手続を終結させました。この間も、1999年にISO9001、2004年にISO14001の認証を取得するなど、品質管理・環境マネジメント体制を整備しました。

再建後は、再び建設事業を基盤として安定した経営を目指しています。2012年には創業90周年を迎えました。

事業所

本社を和歌山に置き、大阪支店、東京支店といった主要拠点に加え、九州や広島、茨城、千葉など全国各地に支店や営業所を展開しています。また、創業の地である和歌山県内には本社分室や複数の営業所を設け、地域に根差した活動を行っています。

不祥事

近年、工事における不適切な事案が発生しています。2012年に受注した紀ノ川湊地区の地盤改良工事では、施工中に国の光ケーブルを損傷させ、通信障害を引き起こしました。これにより、2013年に国土交通省近畿地方整備局から1ヶ月の指名停止処分を受けました。また、2022年に完成した八郎山トンネル工事では、施工不良が発覚。共同企業体の代表企業であったことから、和歌山県から6ヶ月の指名停止処分を受け、さらに国土交通省近畿地方整備局からも2024年6月に40日間の公共工事の営業停止処分を受ける事態となりました。

これらの課題を乗り越え、地域からの信頼回復と建設事業への貢献が今後の重要なテーマとなります。

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