清光寺

清光寺

清光寺は、山梨県北杜市長坂町大八田に位置する曹洞宗の寺院です。山号は朝陽山、本尊は薬師瑠璃光如来で、開基は源清光（逸見黒源太清光）です。福井県の永平寺と横浜市の總持寺を大本山とし、甲府市の興因寺を本寺として、30余りの末寺を持つ巨刹です。

歴史

創建

清光寺の歴史は、平安時代末期に源清光によって開かれた信立寺に遡ります。源清光は、源義光の孫であり、源義清の嫡男として天仁3年（1110年）に誕生しました。逸見太郎や黒源太とも称された清光は、谷戸城を築き、久安7年（1151年）には真言宗の道場として信立寺を城外に建立しました。仁安3年（1168年）に清光が没すると、信立寺に葬られました。

中興

信立寺はその後、盛衰を繰り返しましたが、文明7年（1475年）に興因寺2世の宗穆和尚によって曹洞宗の寺院として中興されました。里人から「キヨミツデラ」と呼ばれていたことから、清光寺と改称されました。

境内

清光寺の境内には、以下のような建造物や史跡があります。

本堂：桁行13間、梁間9間と、大本山に匹敵する規模を誇ります。
総門：享和元年（1801年）10月に建立され、1993年（平成5年）に改修されました。北杜市指定文化財となっています。
山門
庫裡：総檜造です。
開山堂
檀信徒会館：位牌堂を併設しています。
清光公墓所：清光寺の開基である源清光の墓です。
馬蹄石：源清光が乗馬した際にできたとされる窪みが残る石です。
芥川龍之介の句碑：1923年（大正12年）に芥川龍之介が清光寺を訪れた際に詠んだ句が刻まれています。

高原夏期大学

清光寺は、大正時代に開催された高原夏期大学の会場としても知られています。

1921年（大正10年）には、山梨教育会北巨摩支会主催の高原夏期大学が清光寺で開催され、「文学」「思想」「法律」「宗教」などの講義が行われました。この講習会は、一般の人々も参加できる、山梨県初の試みでした。翌年には小淵沢小学校で第1回が開催され、1923年（大正12年）には再び清光寺で第2回が開催されました。

第2回では、芥川龍之介が「文学」の講師を務め、連日250人以上が参加する盛況ぶりでした。また、清光寺は高原夏期大学を主導した堀内柳南の菩提寺であり、芥川龍之介が柳南に贈った句「藤の花 軒端の苔の 老いにけり」の軸装が残されています。1993年（平成5年）には、この句の句碑が境内に建立されました。

本末関係

清光寺は、多くの末寺を持ち、その関係は以下の通りです。

興因寺（甲府市）
龍岸寺（北杜市長坂町）
萬休院（北杜市武川町）
長昌院（北杜市長坂町）
繁昌寺（北杜市明野町）
西方寺（北杜市長坂町）
城光院（長野県佐久市）
法泉院
安楽寺（長野県、廃寺）
大林寺（岐阜県中津川市）
長徳寺（岐阜県恵那市）
瑞現寺（岐阜県恵那市）
長栄寺（岐阜県恵那市）
圓通寺（岐阜県恵那市）
弥勒寺（岐阜県関市）
竜沢寺（北杜市長坂町）
道喜院（北杜市大泉町）
城源院（韮崎市）
法善寺（北杜市大泉町、廃寺）
江月院（北杜市長坂町、廃寺）
泉龍寺（北杜市高根町）
安楽寺（北杜市大泉町）
円通寺（北杜市小淵沢町）
竜福寺（北杜市白州町）
東泉院（北杜市須玉町）
広徳寺（北杜市高根町、廃寺）
法性寺（北杜市長坂町）
声聞寺（北杜市長坂町）
忠光寺（北杜市大泉町、廃寺）
宝蔵寺（韮崎市）
養泉院（北杜市須玉町）
長泉寺（北杜市須玉町）
喜翁院（北杜市長坂町、廃寺）
西宮寺（韮崎市、廃寺）
東原寺（北杜市大泉町、廃寺）
葉光庵（北杜市高根町、廃寺）
長徳寺（北杜市長坂町、廃寺）
妙喜院（北杜市長坂町）
普聞軒（北杜市高根町、廃寺）
東泉軒（北杜市高根町）
慈聞院（北杜市高根町、廃寺）

文化財

清光寺には、以下の市指定文化財があります。

清光寺の総門附棟札：享和元年（1801年）10月建立。1994年（平成6年）2月7日に長坂町指定文化財となりました。
清光寺の制札：天正3年（1575年）製作。1990年（平成2年）1月23日に長坂町指定文化財となりました。

参考文献

長坂町誌編纂委員会『長坂町誌 下巻』長坂町、1990年
磯貝正義 編『定本・甲斐百寺』郷土出版、1996年
北杜市郷土資料館『柳南の本』北杜市郷土資料館、2015年
45周年記念事業プロジェクトチーム/編『エピソード』長坂町、2000年
* 『北杜市勢要覧』北杜市企画部情報政策課、2007年

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