清水政勝

清水政勝の生涯

清水政勝（しみず まさかつ）は戦国時代に活躍した武将で、後北条氏の家臣として歴史に名を刻んだ。通称は新七郎から太郎左衛門へと変わる。彼は、伊豆国に住む清水康英の次男であり、兄の新七郎の死後、嫡男としてその地位を引き継いだと考えられている。

来歴

政勝は永禄11年（1568年）、父や兄と共に今川氏救援のため駿河へ出征した。この時期、彼は武田氏の侵攻に対抗するため、徳川軍に参加し、三方ヶ原の戦いでも名を馳せた。そこで彼は、敵将の首を素手で捻じる怪力を見せつけ、「ねじ首太郎左衛門」との異名を得た（『北条五代記』）。彼は長久保城の将を務めた後、上野国へ転戦し、天正12年（1584年）には館林城の長尾顕長を攻撃。この後も数回の戦闘に関わり、名を上げていった。天正15年には新田金山城に配属され、513貫を領したが、その後は駿河国へ戻り、葛山や長久保を領有することとなる。

天正18年（1590年）の小田原征伐では北条軍の武将として参加し、城に籠城して徳川家臣と激闘を繰り広げ、朴訥ながらも勇猛果敢な姿勢が北条氏政に評価された。

北条氏が滅びた後、政勝は浪人としての生活を余儀なくされたが、慶長5年（1600年）に結城秀康の招きによって下総国に移り300石を与えられ、家臣として仕官した。この時、彼は60歳ほどであったと言われる。慶長6年（1601年）には大野城に武勇に優れる士たちと共に入城し、土屋正明に仕官。彼の石高は1,025石であり、さらに与力分として1,800石が付与された。慶長9年（1604年）には息子の直英に家督を譲り、隠居生活に入った。

逸話

政勝はその怪力にまつわる逸話が多く残っている。彼は「ねじ首太郎左衛門」と称され、武将としての怪力を彷彿とさせる出来事を数多く経験した。彼の所有する「甲州黒」という馬は、並外れた力を持っていたものの、手に余る馬であったが、政勝がその馬に試乗した際、彼の力が強すぎたため馬を傷つけてしまうという悲劇を経験した（『小田原北条記』巻七）。また、鹿の角を一手で引き裂く技を披露したエピソードも伝わっており、彼の怪力は一目を引くものであった。

若い頃はその強力な体力に頼るあまり、傲慢で放蕩な性格だったが、生母の教えを受けて改心し、兵法書に親しむようになる。これにより、智恵も兼ね備えた武将へと成長していった。彼の母もまた怪力で知られ、崖から落ちかけた牛を救った逸話が残されている（『小田原北条記』巻七）。

彼の生涯は、戦国時代の興亡と武士の価値観を体現するものであり、清水政勝という名前は今なお多くの人々の記憶に残り続けている。

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