清瀬川敬之助

清瀬川敬之助（きよせがわ けいのすけ）は、1893年11月1日に秋田県平鹿郡大森町（現在の横手市）で生まれました。本名は三輪敬之助で、旧姓は守屋です。彼は、楯山部屋に所属した大相撲力士であり、最高位は東関脇でした。

生い立ちと入門
幼少期から柔道に秀でていた清瀬川は、土地相撲の世話人であった花瀬川の勧めで、熊ヶ谷部屋に入門しました。1911年1月場所で初土俵を踏みましたが、入門後も柔道の鍛錬を続け、力士としては初めて講道館の段位（三段）を取得しました。

力士としての活躍
1917年5月場所で新入幕を果たした清瀬川は、右四つからの上手投げや下手投げ、足技など、多彩な技を駆使して観客を魅了しました。その卓越した技術から「業師」という愛称で親しまれ、上位陣を苦しめる場面も多くありました。しかし、関脇まで昇進したものの、勝ち越しを果たすことができず、大関昇進は叶いませんでした。

引退と年寄としての活動
清瀬川は、現役時代から内弟子を育成しており、熊ヶ谷部屋の後継者争いに敗れた後、楯山部屋へ移籍しました。1929年1月場所中、取組中の怪我による流血を理由に引退を表明しましたが、日本相撲協会の慰留を受け、引退を撤回。同年9月場所まで現役を続けました。
引退後は、年寄・伊勢ヶ濱（5代）を襲名し、伊勢ヶ濱部屋を創設。自身のような技能派力士の育成に力を注ぎました。特に、同郷の後輩である照國萬藏を横綱に育て上げたことは、彼の大きな功績として知られています。照國は、当時の伊勢ヶ濱部屋について「体が小さい力士が多く、四つ身での勝負は難しかったため、前捌きの徹底指導を受けていた」と語っています。
1953年1月場所後、照國に部屋を譲り、自身は日本相撲協会の相談役を務めました。1960年には停年制を前に勇退し、蔵前国技館で引退披露大相撲を開催しました。これは年寄の引退相撲としては史上初の出来事でした。

晩年
清瀬川敬之助は1967年7月1日に73歳で亡くなりました。

主な成績
通算幕内成績：162勝142敗8分4預12休　勝率.533
幕内在位：31場所
三役在位：15場所（関脇5場所、小結10場所）
優勝旗手：1回
金星：2個（栃木山守也・常ノ花寛市）

清瀬川は、その卓越した技術と指導力で、大相撲界に大きな足跡を残しました。彼の育てた力士たちが、その伝統を受け継いでいます。

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