清瀬義三郎則府

清瀬義三郎則府：言語学への多大な貢献

清瀬義三郎則府(1931年1月25日-2017年7月30日)は、世界的に著名な言語学者であり、ハワイ大学名誉教授の称号も得ています。英語圏ではGisaburo N. Kiyoseとして知られていました。彼の専門は多岐に渡り、アルタイ言語学、古代朝鮮語、女真語、女真文字、そして満州語など、幅広い言語を研究対象としていました。これらの研究成果に加え、日本語に関する著作も数多く発表しており、日本の言語学界に大きな足跡を残しています。

主要な研究分野と業績

清瀬氏の研究は、単なる言語記述にとどまらず、言語間の比較や歴史的な考察を重視していました。特に、アルタイ諸語と日本語の比較研究においては、両言語に共通する膠着語的な性質を指摘し、その言語系統に関する議論に大きく貢献しました。また、日本語の文法に関する独自の理論である「派生文法」を提唱したことも、大きな功績の一つです。この理論では、日本語の動詞は活用しないという革新的な見解が示され、従来の文法理論とは異なる視点からの分析が試みられています。

音韻史の研究においても、清瀬氏は独自の視点を持っていました。平安時代までのハ行子音はP音であったという説は、従来の説とは異なる大胆な主張であり、多くの研究者から注目を集めました。さらに、原日本語の母音体系を8母音とする説を提唱し、各母音の音価の推定にも取り組んでいます。

教育とキャリア

1954年に京都大学文学部言語学科を卒業した後、大東文化大学と国士館大学で講師を務めました。その後、1964年に渡米し、インディアナ大学で助手、講師、助教授を歴任。1973年にはインディアナ大学大学院ウラル・アルタイ学研究科博士課程を修了し、Ph.D.(哲学博士)を取得しています。その後、オハイオ州立大学、ミネソタ大学、ミシガン大学、ウィスコンシン大学などでも教鞭を執り、1974年にはカリフォルニア州立大学助教授に就任。1979年にはハワイ大学に移り、助教授、準教授、教授を歴任しました。1989年から1991年にかけては、京都大学の招聘教授として日本に滞在し、研究活動と教育に携わりました。1994年にはハワイ大学名誉教授の称号を授与され、その後は日本に戻り、姫路獨協大学教授や大阪外国語大学講師などを務めました。

主要な著書

清瀬氏は、英語と日本語の両方で多くの著書を発表しています。代表的な著作には、『日本語文法新論・派生文法序説』、『日本語学とアルタイ語学』、『Japanese Grammar: A New Approach』、『満洲語文語入門』、『日本語文法体系新論・派生文法の原理と動詞体系の歴史』などがあります。これらの著作は、日本語学やアルタイ言語学の研究者にとって、重要な参考文献となっています。 彼の著作は、その緻密な分析と独自の視点から、多くの研究者や学生に影響を与え続けています。

結論

清瀬義三郎則府は、多岐にわたる言語分野で卓越した研究業績を残し、後進の育成にも尽力した、20世紀後半から21世紀初頭にかけての言語学界を代表する人物の一人です。彼の研究は、現代の言語学研究に多大な影響を与え続け、その功績は今後も高く評価されるでしょう。

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