渋沢智雄

渋沢 智雄

概要

渋沢 智雄（しぶさわ ともお）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家です。正字体では澁澤 智雄と表記されます。1901年（明治34年）3月5日に生まれ、1947年（昭和22年）4月29日に満46歳でその生涯を閉じました。日本の近代経済の礎を築いた渋沢栄一を祖父に持ち、父は栄一の嫡男である渋沢篤二です。また、コモンズ投信の取締役会長を務める渋澤健氏は智雄の孫にあたります。

実業界においては、祖父の栄一が設立に関与し、父の篤二が取締役会長を務めた渋澤倉庫で常務取締役を務めたほか、日本ワットソン統計機械やエフ・オーストン商会、朝鮮興業など、多岐にわたる企業の経営に携わりました。

生涯

幼少期から青年期

智雄は1901年3月5日、栄一の子爵家嫡男である篤二と妻・敦子の三男として、東京府東京市深川区（現在の東京都江東区の一部）に生を受けました。兄が二人おり、智雄は三男として育ちます。母・敦子の父、すなわち智雄の母方の祖父は、羽林家の公卿出身で元老院議官を歴任した伯爵橋本実梁です。

智雄には、子爵を継いだ長兄の渋沢敬三と次兄の渋沢信雄がいました。また、現渋沢家当主の渋沢雅英氏や、元ソニー取締役の渋沢裕氏、渋沢彰氏は智雄の甥にあたります。叔父には渋沢武之助、渋沢正雄、渋沢秀雄がいます。実業家として知られる渋沢芳昭氏は智雄の長男です。

1913年、父の篤二が渋沢家の嫡男の地位を離れた後、母の敦子と二人の兄と共に住まいを転々とすることとなります。しかし、1915年に篤二に代わり渋沢家の跡継ぎとなった長兄の敬三が渋沢同族株式会社の社長に就任したことを契機に、兄二人と共に渋沢家へ戻りました。その後、北海道帝国大学農学部で学ぶため、北海道へと移住しています。

結婚と実業家活動

大学卒業後、1928年に節子夫人と結婚しました。この結婚を機に分家を立て、次兄の信雄と共に、栄一から家督を継承した長兄・敬三を分家という立場で支援しました。結婚の翌年である1929年には、長男の渋沢芳昭氏が誕生しています。節子夫人との間には、芳昭氏を始めとする三男二女の計五人の子供が生まれ、智雄は彼らを愛情深く育て上げたと伝わります。

分家として兄敬三を助ける傍ら、智雄自身も精力的に実業界で活動を展開しました。日本ワットソン統計機械の取締役やエフ・オーストン商会の監査役などを務めたほか、祖父栄一が創業に関わり、父篤二が取締役会長を務めた歴史ある企業、渋澤倉庫では常務取締役に就任しました。さらに、朝鮮興業の取締役なども歴任し、幅広い分野で経営手腕を発揮しました。仕事の傍ら、音楽や釣りを趣味とする一面も持っていました。宗教は仏教を信仰していました。居住地は東京市渋谷区代々木富ヶ谷でした。

早逝

実業家としてさらなる活躍が嘱望される最中、第二次世界大戦終結間もない1947年4月29日、智雄は満46歳（享年47）という若さで急逝しました。これは、二人の兄に先んじての訃報でした。智雄の菩提寺は、渋沢子爵家の菩提寺でもある寛永寺です。墓所は、渋沢子爵家代々の墓が建立されている東京都の谷中霊園にあります。

登場作品

渋沢智雄の生涯は、2021年に放送されたNHK大河ドラマ「青天を衝け」でも描かれ、俳優の越中優人氏が智雄を演じました。

家族・親族

妻: 節子（中村勇三郎の姉）
子供:
長男: 芳昭（1929年-）
次男: 芳則（1933年-）
三男: 茂純（1936年-）
長女: 百合子
二女: 加代子
孫: 健（1961年-）
主な親族:
渋沢敬三（長兄、子爵、実業家）
渋沢信雄（次兄）
渋沢雅英（甥）
穂積重遠（法学者）
阪谷希一（政治家）
穂積真六郎
渋沢元治

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第9版』人事興信所、1931年。
人事興信所編『人事興信録 第13版 上』人事興信所、1941年。
交詢社編『日本紳士録 第46版』交詢社、1942年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第14版 東京篇』帝国秘密探偵社、1942年。
人事興信所編『人事興信録 第14版 上』人事興信所、1943年。

関連項目

渋沢財閥
澁澤倉庫
渋沢栄一
渋沢敬三
渋沢雅英
渋沢芳昭
渋沢健
* 旧渋沢家住宅

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