渡邊晃一

渡邊晃一（わたなべ こういち / WATANABE, Koichi）は、日本の画家、美術家であり、福島大学人間発達文化学類教授、福島大学藝術による地域創造研究所所長を務めています。絵画、現代美術（インスタレーション）を中心に活動し、その作品は国内外で高く評価されています。

多岐にわたる表現活動

渡邊晃一の活動は、油彩画を基盤とした絵画制作にとどまらず、舞踏家とのコラボレーション、舞台美術、映画制作など、多岐にわたります。1998年からは、舞踏家の大野一雄をモデルにした作品を制作し、大野慶人、舘形比呂一といった舞踏家とのコラボレーションも展開しています。新国立劇場での平山素子のダンス「Life Casting」の美術、山下洋輔のジャズやオペラの舞台美術も手がけ、幅広い分野で活躍しています。また、「Life Hands」という様々な文化人の手型作品シリーズも制作しており、これらの活動は一貫して「生命」と「気」をテーマとしています。

研究と教育活動

渡邊晃一は、美術制作だけでなく、美術理論、美術教育にも力を注いでいます。主な著書には、『渡邊晃一作品集　テクストとイマージュの肌膚』や『モナ・リザの教科書』があります。また、「生命形態と美術教育 〜三木成夫の解剖学からの接近〜」では、第30回佐武賞を受賞しています。近年は、油彩画の古典技法や美術解剖学の研究、海外研修での経験を活かし、レオナルド・ダ・ヴィンチに関する書籍やテレビ番組の監修・解説も行っています。

「生命形態」をテーマにした研究

渡邊晃一の研究は、「生命形態」（人体、動植物、地球）をテーマにした三つの柱によって構成されています。

美術制作：絵画、版表現、現代美術（インスタレーション）、映像メディアなど、多様な表現方法を駆使しています。
美術理論：制作学、美術解剖学／生命形態学、レオナルド・ダ・ヴィンチ論など、美術に関する深い知識と考察を追求しています。
* 美術教育：芸術教育学、アートマネージメント、STEAM教育など、次世代を担う人材育成に貢献しています。

来歴と人物

北海道夕張市出身で、母方の縁戚に画家俣野第四郎、彫刻家本郷新がいます。父方の祖母が佐藤忠良の母親に裁縫を教わっていたという縁もあり、幼少の頃から美術に触れる環境に育ちました。札幌藻岩高等学校を卒業後、筑波大学、東京藝術大学で美術を学び、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでも研鑽を積みました。1995年より福島大学に着任し、現在は教授として後進の指導にあたっています。

芸術活動

渡邊晃一の芸術活動は、ルネサンスの油彩画、東洋の水墨画、漆などの伝統技法と、洞窟壁画の版表現、Life Castingと最先端のデジタル技術を融合させたハイブリッドなものです。「生命形態」や「肌膚」をテーマとし、ArtとScienceを往還する作風は一貫しており、巨樹や陰陽五行、宇宙からみた大地をモチーフにした作品を制作しています。

主な美術活動

個展、グループ展ともに多数開催しており、国内外の美術館やギャラリーで作品を発表しています。主な個展には、斎藤記念 川口現代美術館、茨城県つくば美術館などがあります。また、グループ展では、現代日本美術展、越後妻有アートトリエンナーレなどに出展しています。

作品の展開

渡邊晃一の作品は、巨樹をテーマとした油彩画から始まり、Life Casting、陰陽五行をテーマにしたインスタレーション、樹海をテーマにしたコラボレーションへと展開しています。高村光太郎の彫刻《手》の研究をきっかけに、手型作品シリーズ「veronica -Life Hands-」を開始し、ルーベンスやレオナルド・ダ・ヴィンチの作品をオマージュした作品も制作しています。舞踏家とのコラボレーションは、大野一雄をモデルにした作品から始まり、3Dデジタイザーや3Dプリンターを使った作品へと進化しています。東日本大震災後は、福島をテーマにした作品を制作し、復興支援にも取り組んでいます。

オペラの舞台美術

オペラの舞台美術も手がけ、「乙和の椿」、「こうもり」、「蝶々夫人」、「魔笛」、「いのち甦る」など、数々の作品で舞台を彩っています。

Veronica -Life Hands-

「Veronica -Life Hands-」は、稀有な才能を持つ人々の手を石膏で型取りした作品シリーズです。これまでに、靉嘔、秋山祐徳太子、大野一雄、奈良美智、山下洋輔、養老孟司など、多くの著名人の手が作品化されています。

著書、論文、学会発表

渡邊晃一は、著書や論文も多数発表しており、美術に関する深い知識と研究成果を共有しています。主な著書には、『生命形態と美術教育〜三木成夫の解剖学からの接近〜』、『テクストとイマージュの肌膚』、『モナ・リザの教科書』があります。学会発表では、「モナ・リザ」に関する研究や、ダ・ヴィンチの思想に関する発表を行っています。

企画監修／芸術総合監督

渡邊晃一は、「福島ビエンナーレ」をはじめとする芸術祭の企画監修や芸術総合監督も務めています。東日本大震災後は、「鯉アートのぼり」プロジェクトを立ち上げ、復興支援活動を継続的に展開しています。

映画協力

映画制作にも協力しており、『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』では、レオナルド・ダ・ヴィンチ資料の取材協力や《モナ・リザ》の秘密に関する監修を行いました。

メディア出演

メディアにも多数出演しており、NHKの「日曜美術館」や日本テレビの「ルーヴル美術館　特別番組」などに出演しています。

地域貢献

福島大学での教育活動の他、地域貢献活動にも熱心に取り組み、様々な分野で地域社会の発展に貢献しています。会津若松技術支援センターやCCGA（大日本印刷株式会社）での講師、郡山市文化芸術振興基本計画策定委員など、その活動は多岐にわたります。

受賞歴

茗渓会奨励賞、教育美術賞、PHILIP MORRIS ART AWARDなど、数々の賞を受賞しています。平山素子の「Life Casting」では、朝日舞台芸術賞、キリンダンスサポート賞を受賞しています。

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