大野慶人

大野慶人（おおの よしと）は、1938年7月15日に東京都で生まれ、2020年1月8日に81歳で亡くなった舞踏家、演出家、ダンスセラピスト、教育者です。舞踏界の巨匠、大野一雄の次男として生まれ、父の作品の演出を生涯にわたり担当しました。

幼少期は、太平洋戦争の影響で疎開生活を経験。終戦後、父・一雄と再会し、1951年から父に師事しダンスを学び始めました。関東学院中学校、高等学校を経て文化学院文学部に入学。1959年には土方巽演出の「禁色」で暗黒舞踏の初舞台を踏み、以後、暗黒舞踏の公演に参加しました。

また、及川廣信のマイム・スタジオで、及川廣信、安堂信也、大野一雄らに師事し、クラシックバレエやパントマイムを学びました。及川が主宰するバレエ東京、アルトー館にも参加するなど、幅広いジャンルの舞台芸術に触れました。

1969年に初リサイタルを開催するも、その後舞台活動を中断。1981年に父・大野一雄の海外公演に同行し、1985年に「死海」で舞台復帰を果たしました。以降、父の作品の演出に携わり、自らも舞台に立ちました。

1986年からは、オーストラリアのアデレード国際演劇祭を皮切りに、サンパウロ、ブエノスアイレス、パリ、ロンドン、ローマなど世界各地で公演を実施。1987年にはシュトゥットガルト世界演劇祭で大野一雄舞踏公演「睡蓮」を演出し、1988年のニューヨーク国際芸術フェスティバルでも同作品を上演しました。1998年には郡司正勝の遺稿を基にソロ作品「ドリアン・グレイの最後の肖像」を上演。2010年には「たしかな朝」で海外ダンサーとの共演も行いました。

大野慶人は、父・一雄の作品を継承しつつ、独自の舞踏表現を追求。教育者としても、ダンスセラピストとしても活動するなど、多岐にわたる分野で才能を発揮しました。彼の作品は、国内外で高い評価を受け、多くの人々に影響を与えました。

著書には、『大野一雄 魂の糧』、『花と鳥 舞踏という生き方』などがあります。また、写真集『土方巽原作「病める舞姫」東北歌舞伎計画秋田公演』では、アートディレクターとしても才能を発揮しました。

関連人物として、父である大野一雄の他に、及川廣信、柿崎順一、笠井叡、郡司正勝、ジョアン・ソレル、友恵しづね、土方巽、溝端俊夫などが挙げられます。

大野慶人の舞踏への情熱と芸術的才能は、後世に受け継がれていくでしょう。

主な活動

1959年：土方巽演出「禁色」で暗黒舞踏初舞台
1969年：初リサイタル「大野慶人DANCE EXPERIENCEの会」
1985年：舞踏フェスティバル'85「死海」で舞台復帰
1987年：シュトゥットガルト世界演劇祭「睡蓮」演出・共演
1988年：ニューヨーク国際芸術フェスティバル「睡蓮」公演
1998年：ソロ作品「ドリアン・グレイの最後の肖像」上演
2010年：「たしかな朝」海外ダンサーとの共演

著書

『大野一雄 魂の糧』（フィルムアート社、1999年）
『花と鳥 舞踏という生き方』（かんた、2006年）

写真集
『土方巽原作「病める舞姫」東北歌舞伎計画秋田公演（写真・谷口雅彦）』（NPO土方巽秋田舞踏会、2018年）

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