温根沼

温根沼の概要

温根沼（おんねとう）は、北海道根室市の根室管内に存在する美しい沼であり、野付風蓮道立自然公園に指定されています。この場所は2001年に日本の重要湿地500にも選ばれており、その価値が広く認識されています。温根沼周辺は自然が豊かで、野生動物や植物が多く生息しているため、環境保護や研究の対象にもなっています。

地理的特徴

温根沼は根室半島の付け根に位置しており、周囲の長さはおよそ15キロ[[メートル]]です。西隣にある風蓮湖と同じく汽水湖であり、根室湾に接しています。温根沼や風蓮湖は共に縄文時代の海進によって作り出された海跡湖であり、干潮時には沖合に砂州が現れます。主な流入河川であるオンネベツ川が沼に水を供給しており、湖底には深い澪筋が形成されています。最深部では約7.3メートルの深さがありますが、全体的には1.8メートル程度と浅い部分が多いです。

干潮時には、沼の北東半分が干潟となり、アサリやホッキガイが獲れる潮干狩りスポットとして地元の人々に親しまれています。また、汽水湖であるため、カレイなども漁獲できる地域です。周囲にはアカエゾマツの森林が広がり、丘陵地帯としての魅力も持っています。

考古学的遺物

さらに、温根沼の北岸では1954年に発見された「温根沼式土器」に関連する考古学的遺跡が存在しており、ここは標式遺跡とされています。この関江谷竪穴群は、縄文時代の貝塚や竪穴建物、また擦文時代の構造物が見つかるなど、歴史的価値が高い場所でもあります。古代の人々の生活や文化について知る貴重な手がかりが残されています。

生態系

生物相も非常に多様で、澪筋や北部浅部を除く広範囲にアマモやコアマモが分布し、豊かな藻場が形成されています。干潟にはキタユムシやアナジャコ、キタイソメなどが生息しており、アサリ、カキ、ホッカイシマエビなどの漁場としても利用されています。その周辺の土壌には、ハマニンニクやシバナ、ハマルリソウ、ウミミドリ、エゾオグルマなどの植物が豊かに生育しており、自然の恵みを楽しむことができます。

また、温根沼はオオハクチョウやタンチョウが飛来する場所でもあり、これらの鳥類の繁殖が確認されています。特に、タンチョウやシマフクロウ、エゾライチョウなどの貴重な動物がここで繁殖していることが、環境保護の重要性を高めています。

近年では、2000年8月23日にカレイ漁の網にかかったヒグマが発見され、その生態についての注目を集めました。これは推定2 - 3歳の若いヒグマで、漁網に絡まってしまい溺死したものでした。地元の漁師によると、ヒグマが漁網にかかるのは初めてのことで、周囲の自然環境がどれほど豊かなのかを示しています。このヒグマは後に剥製にされ、根室市によって保管されています。

交通の便

アクセス面では、沼の北側に流出部があり、国道44号には温根沼大橋が架かっています。この橋は全長141メートルで1995年に完成しました。橋の脇には駐車場もあるため、訪れる方は便利に利用できるでしょう。自然豊かな温根沼は、観光やレクリエーションの場としても人気を集めているスポットです。

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