満偉

満偉（まん い）は、中国三国時代の魏に生きた人物で、字を公衡（こうこう）と称しました。彼の家系は、兗州山陽郡昌邑県（えんしゅうさんようぐんしょうゆうけん）に根ざしており、父は魏の名将として名を馳せた満寵（まん ちょう）でした。また、妹は司馬榦（しば かん）の妃となるなど、当時の政治情勢と深く関わっていました。

満偉は、正始3年（242年）に父である満寵が亡くなると、その功績を継ぎ、昌邑侯（しょうゆうこう）の爵位を授けられました。父譲りの長身であり、八尺（約184cm）に達する堂々たる体躯と、高潔な人柄で知られていました。

嘉平6年（254年）には、皇帝であった曹芳（そうほう）の廃位を求める上奏文に、衛尉（えいい）兼昌邑侯として名を連ねています。このことから、満偉が当時の政治において一定の地位を占めていたことが伺えます。

甘露2年（257年）に諸葛誕（しょかつたん）の乱が勃発した際、満偉は病に臥せっており、軍への従軍を果たすことができませんでした。子の満長武（まん ちょうぶ）が見舞いのために軍を一時的に離れたことが、結果として司馬昭（しば しょう）の不興を買うことになります。

甘露5年（260年）に甘露の変が発生。この事件において、満長武は都の城門を守備していましたが、司馬榦らの入城を拒んだため、司馬昭の怒りを買い、杖刑に処され、命を落としました。満偉自身もこの事件に連座する形で官職を剥奪され、庶人に落とされてしまいました。しかし、人々は満偉が不当な罪に巻き込まれたとして、深く同情したと伝えられています。

満偉の生涯は、三国時代の魏という激動の時代における政治的な駆け引きや、時の権力者による容赦ない粛清など、当時の社会情勢を色濃く反映しています。父の功績を継ぎ、皇帝廃位に関わる一方で、子の死によって失脚するという、まさに時代の波に翻弄された悲劇的な人物であったと言えるでしょう。

参考資料：
* 陳寿撰、裴松之注『三国志』魏書 満寵伝

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