源仲綱

源 仲綱 (みなもと の なかつな)

源仲綱は平安時代末期に活躍した武将で、歌人でもありました。彼は源頼政の嫡男で、母は源斉頼女です。仲綱は正五位下、隠岐守、伊豆守などの官位を持っていました。

生涯

仲綱は京武者として知られ、摂津源氏の一門に属し、彼の家系は代々大内守護として内裏の警護の任を担っていました。久寿2年（1155年）、彼は守仁親王（後の二条天皇）が立太子された際に蔵人に任じられ、東宮に仕官しました。平治元年（1159年）には、父頼政が平治の乱で平清盛に協力した結果、河内源氏は衰退する中、仲綱は摂津源氏の立場を保ちつつ平氏政権下での生活を続けました。

この時期、源頼朝が配流となった際、仲綱は既に伊豆守に任じられており、頼朝の配下が流罪の身の彼を伊豆へ送り届けたと伝わっています。

仁安3年（1168年）、仲綱が伊豆守として朝廷に請文を提出し、五節舞の舞姫の経費を賄えないことを報告したことから、彼と父の動向を知る貴重な資料とされています。父頼政と共に天皇や法皇に仕え、諸行事に供奉する傍ら、歌人としても活動し、貴族たちが開催する歌会や歌合に参加しました。彼の詠んだ和歌の一部は『千載和歌集』にも収録されています。

父頼政は家門の名誉を望み続け、70歳を超えても家督を仲綱に譲らずにいましたが、治承2年（1178年）12月にはついに従三位に叙され、翌年には仲綱に家督を譲りました。

以仁王の挙兵

治承4年（1180年）、仲綱は父頼政と共に後白河法皇の第三皇子である以仁王と共に平家打倒を計画しました。その動機は、仲綱の所有していた名馬「木の下」を平清盛の三男宗盛に強奪されたことにあり、彼に名を侮辱される形となったことに端を発するのだと『平家物語』は伝えています。

挙兵の際には、以仁王の名により平家討伐の令旨を出し、各地の源氏に呼びかけが行われましたが、計画は準備不足のまま漏洩してしまいます。仲綱は父と弟たちと共に自宅を焼いて京を退去し、園城寺に逃れ、以仁王と合流しました。

しかし、平家の軍勢に追われ、彼らは南都興福寺を目指します。最終的には宇治川で平家軍と交戦しました。仲綱は大将として奮戦しましたが、平家方が強行渡河してきたため、仲綱らは防戦し続けました。仲綱は平等院に籠もりながら戦い続け、満身創痍となった結果、平等院釣殿にて自害しました。彼の享年は55でした。

仲綱の次男有綱と四男成綱は伊豆にいたため難を逃れ、その後、源頼朝の挙兵に参加しました。有綱は源義経の婿となり、家族の生き残りたちは後の源平合戦にも関与していきます。さらに、仲綱の三男頼成や他の兄弟も難を逃れ、後に各々の運命を辿ることになります。

関連作品

源仲綱はその人生から様々な作品に描かれています。例えば、1972年のNHK大河ドラマ「新・平家物語」では生井健夫が演じ、1986年の「武蔵坊弁慶」では信実一徳が出演しました。2005年の「義経」では光石研、2012年の「平清盛」では須田邦裕が彼を演じています。彼の人生は多くの人々に影響を与え、今日まで語り継がれています。

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