源仲頼

源仲頼（みなもと の なかより）は、平安時代後期に生きた貴族であり、優れた歌人としても知られています。卜部兼仲の子として生まれ、源資遠の養子となりました。官位は従五位下、筑後守にまで昇り、その生涯は多岐にわたる活躍に彩られています。

平安時代後期の動乱期を生きる

仲頼は、鳥羽法皇と後白河法皇という二人の天皇に北面武士として仕えました。保元2年（1157年）には左衛門少尉に任じられ、その後、承安年間には検非違使という要職も務めています。当時、朝廷内では平氏が勢力を拡大しており、その影響力は日に日に増していました。『尊卑分脈』には、平清盛の訴えによって仲頼が讃岐国に配流されたという記述がありますが、この件に関して確実な裏付けは取れていません。しかし、院の近臣として反平家活動に関与していた可能性は否定できず、当時の政治情勢における彼の立場を物語るエピソードと言えるでしょう。

鎌倉幕府の御家人へ

その後、仲頼は源頼朝に接近し、文治元年（1185年）の勝長寿院供養に参列しています。この出来事によって、彼は鎌倉幕府の御家人として正式に認識されるようになりました。この頃、彼は叙爵を受け（『玉葉』文治2年10月20日条）、建久年間には筑後守に任命されています。武士としての活動は、彼が単なる貴族や歌人にとどまらず、時代の変革期において重要な役割を果たしていたことを示しています。

歌人としての才能

仲頼は歌人としても名を残しており、『千載和歌集』には彼の作品が2首採録されています。彼の歌は、当時の貴族社会における文化的な側面を伝える貴重な資料であり、その才能の幅広さを示すものでしょう。

まとめ

源仲頼は、平安時代から鎌倉時代への移行期に、貴族、武士、歌人として多才な活躍を見せた人物です。朝廷における権力闘争に巻き込まれながらも、最終的には鎌倉幕府の御家人として新たな時代を生き抜きました。彼の生涯は、当時の社会情勢や文化、そして人々の生き様を深く理解するための重要な手がかりとなります。

参考文献

中村文『後白河院時代歌人伝の研究』笠間書院、2005年、403 - 404頁。ISBN 4-305-70296-7。
高島哲彦「源仲頼2」（『平安時代史事典』（角川書店、1994年） ISBN 978-4-04-031700-7）

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