源重成

源重成（みなもと の しげなり）

源重成は、平安時代末期に活躍した武将です。源重実の長男または次男とされ、八島重成とも呼ばれます。その生涯は、平安時代末期の動乱期と深く関わり、保元の乱、平治の乱という二つの大きな戦乱で重要な役割を果たしました。

生涯

重成は、天承元年（1131年）に大炊助、永治2年（1142年）には兵部少丞に任官しますが、その後は散位となります。『長秋記』や『本朝世紀』には、この時期の彼の動向が記録されています。久安3年（1147年）の祇園闘乱事件では、在京の軍事貴族として延暦寺の僧兵の入京を阻止する役割を担いました。この際、重成は叔父の源重時がかつて強訴鎮圧で使用した「母衣（ほろ）」を郎党に着用させ、そのことが人々の注目を集め、「一族の風」として語り継がれるようになりました。

保元元年（1156年）の保元の乱では、後白河天皇方として参戦。平清盛、源義朝、源義康らの第一陣に続き、源頼政、平信兼らと共に第二陣の将として出陣し、後白河天皇方の勝利に貢献しました。この功績により、従五位下・式部丞に任じられ、式部大夫と称するようになります。乱後、重成は捕らえられた崇徳上皇を仁和寺から鳥羽付近まで護送する役目を担いました。

平治元年（1159年）の平治の乱では、源義朝らと共に藤原信頼方として戦います。この時、信頼軍が一時拘束した後の白河上皇を、源光基や季実らと共に護送し、先の崇徳上皇の護送と合わせて、「二代の上皇を護送した」として世間の話題となりました。しかし、二条天皇が六波羅に行幸すると、藤原信頼らは賊軍となり、平清盛軍と交戦することになります。この戦いで信頼軍は敗北し、重成は義朝と共に東国を目指して落ち延びます。

『平治物語』によると、落ち延びる途中の美濃で落人追討の一団に遭遇した際、重成は義朝を逃がすため、「我こそは源義朝なり」と名乗り、自害しました。その際、身元が割れないように自ら顔面を傷つけた上で命を絶ったと伝えられています。この行動は、主君を守るために自らを犠牲にした忠義の士として、後世に語り継がれることになります。

まとめ

源重成は、平安時代末期の動乱期に、武将としてだけでなく、忠義の士としても名を残した人物です。保元の乱、平治の乱という二つの戦乱に関わり、二度の上皇護送という特異な経験を持ちました。最期は主君である源義朝を逃がすために自害するという悲劇的な結末を迎えましたが、その忠義と勇気は、後世に大きな影響を与えました。

関連:
* 『平治物語』

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