滝亭鯉丈

滝亭鯉丈の生涯と業績

滝亭鯉丈（たきてい りじょう）は、江戸時代後期に活躍した日本の戯作者であり、本姓を池田氏といいます。彼の出生年は明確ではありませんが、1841年7月27日に亡くなったことが知られています。通称としては八右衛門と名乗り、後に八蔵とも呼ばれました。

江戸での生い立ち

江戸幕府の300石の旗本である池田氏の家系に生まれ、下谷広徳寺の近くに居住していました。彼は1821年頃に浅草の伝法院周辺に引っ越し、1834年には浅草の諏訪町の河岸に住居を移しました。生業は不明ですが、東本願寺での乗物師や縫箔職人、象牙職人、櫛屋などの職業に従事していたとする説があります。

落語家との関わり

彼は落語家の滝亭鯉楽の弟子となって寄席芸人としても名を馳せました。特に新内節三絃や一中節の名手としての技術が評価されています。これにより、彼自身の文学的な才能も育まれ、後の作品に繋がっていくのです。

文業と代表作

滝亭鯉丈は、1817年に刊行された『栗毛後駿足』を皮切りに、多数の作品を手掛けました。『花暦八笑人』『滑稽和合人』『浮世床』などの著作によって、彼は十返舎一九や式亭三馬と同等の滑稽本の巨匠として認知されました。特に『（花暦）八笑人』は1820年から1849年にかけて刊行されたもので、彼が亡くなる前に執筆したものであり、一部は共著者によって完成されました。

また、彼は為永春水との共著で『明烏後正夢』を出版し、この作品は人情本としての礎を築く重要な作品とされています。彼と春水は、兄弟説も一時は浮上しましたが、近年では義兄弟説が強まっています。

死後の評価

滝亭鯉丈は1841年に亡くなり、文京区の称名寺の境内に墓が設けられています。その後、1955年に東京都の指定旧跡として認定され、彼の文学的業績がいかに重要であったかが再評価されています。

代表的な作品

滑稽本

• - 『（花暦）八笑人』

- 1820年（文政3年）～1849年（嘉永2年）に刊行。晩年に亡くなったため、共著者によって完結された部分もあります。

• - 『（滑稽）和合人』

- 1840年（文政6年）～1844年（弘化元年）に刊行。これも為永春水との共著であり、非常に人気のある作品です。

その他の滑稽本

• - 『大山道中栗毛後駿馬』

- 1817年（文化14年）に刊行された作品で、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』の影響を受けています。

• - 『明烏後正夢』

- 1821年（文政4年）～1824年（文政4年）に出版。為永春水との共著で、軽妙なタッチの人情物語として親しまれました。

このように、滝亭鯉丈は江戸時代の文壇で重要な存在であり、今なお多くの人に知られています。

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