澁谷道

澁谷道（しぶや みち）

澁谷道は、1926年11月1日に京都府京都市下京区麩屋町で生まれ、2022年12月29日に逝去した、日本の医師であり俳人です。大阪市に在住し、俳句の世界でその名を馳せました。

生涯

学生時代と俳句との出会い

大阪女子高等医学専門学校（現在の関西医科大学）在学中に、八木三日女らとともに学生俳句会に参加し、精神科の教授であった平畑静塔の指導を受けました。この頃から俳句への関心を深め、その才能を開花させ始めます。

俳人としての活動

1948年に同校を卒業後、小児科内科の医院を開業する傍ら、俳人としての活動を本格化させます。同年、山口誓子が創刊した「天狼」に投句を開始。1949年には西東三鬼の雷光句会に参加し、1952年には「夜盗派」に同人として加わります。さらに、1959年には「縄」の創刊同人となり、1967年には橋閒石から連句の指導を受け、1977年には金子兜太の「海程」同人となるなど、様々な俳句結社で活動しました。

1978年には「白燕連句会」に入会し、連句の実作にも励みました。1996年には、俳句と連句の俳誌「紫薇」を創刊し、同人代表を務めるなど、俳句界の発展に大きく貢献しました。

作風と評価

澁谷道の句は、古典の素養に裏打ちされた緻密な言語感覚と、幻想性が特徴です。その作品には、京風の雅な感性と、遠祖が松尾芭蕉一行を迎えた山形県新庄の豪商であったという背景からくる東北の風土的な心情が、見事に融合していると評されています（安西篤『現代の俳人101』）。

受賞歴

数々の俳句賞を受賞しており、その功績は高く評価されています。

1982年 - 第18回海程賞
1984年 - 第31回現代俳句協会賞
1997年 - 第15回連句協会賞
2009年 - 現代俳句協会名誉会員
2010年 - 第10回現代俳句大賞
2012年 - 第46回蛇笏賞（『澁谷道俳句集成』により）

作品

句集

『嬰』(1966)
『藤』(1977)
『桜騒』(1979)
『縷紅集』(1983)
『紫薇』(1986)
『紅一駄』(1994)
『蕣帖』(1996)
『鴇草紙』(2004)
『蘡』

随筆集

『あるいてきた』

参考文献

金子兜太 編『現代の俳人101』新書館、2004年
栗林浩『俳人 澁谷道――その作品と人』書肆アルス、2013年（私家版・非売品）

外部リンク

現代俳句人名事典における澁谷道の俳句
澁谷道の句の鑑賞（『増殖する俳句歳時記』）


澁谷道は、その生涯を通じて、俳句の可能性を追求し続けた俳人でした。医師としての活動と並行して、俳句、連句の世界で独自の境地を切り開いたその功績は、後世にまで語り継がれるでしょう。

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