濮英

濮英（ぼく えい）は、明朝初期に活躍した軍人であり、その生涯は勇猛果敢な戦いと、悲劇的な最期によって彩られています。彼の生年ははっきりとは分かっていませんが、1387年に亡くなったとされています。本貫は廬州です。

生涯

濮英は、その並外れた勇気と強靭な体力によって、早くから頭角を現しました。当初は百夫長として軍に身を置きましたが、その才能はすぐに認められ、都督という重要な役職に抜擢されました。1380年、濮英は西涼で兵士の訓練を任されることになります。そこで彼は、自ら鍛え上げた兵士たちを率いて、北元の残党討伐の許可を皇帝から得て、西へと進軍を開始しました。

この遠征で、濮英は目覚ましい活躍を見せます。まず、哈梅里にいた北元の諸王である兀納失里を降伏させ、さらに白城では北元の平章忽都帖木児を捕らえるという大きな戦果を挙げました。その勢いは止まらず、赤斤所へと進軍し、北元の豳王亦憐真とその部下を捕らえて凱旋しました。これらの功績により、濮英は西安衛指揮という要職に任命されました。

しかし、その後の濮英は軍務や政務に熱心ではなく、その態度を問題視した皇帝によって南京に呼び戻され、厳しく譴責されることになりました。この時、濮英の代わりに葉昇が派遣されることになりましたが、葉昇は濮英の優れた才能を擁護したため、濮英は再び西安衛に戻ることができました。

1386年、皇帝が耿炳文に命じて陝西都司衛所の兵を選抜し、辺境に配備することになった際、濮英が訓練した兵士たちが非常に強かったため、濮英は都督僉事という役職を加えられました。その翌年、濮英は部下を率いて馮勝の北伐に従軍しました。金山でナガチュが降伏すると、濮英は帰還する明軍の殿軍を3000の兵を率いて務めました。

ところが、ナガチュの旧部下の中には、まだ明に屈服していない者たちがおり、明軍が撤退したのを知ると、途中に伏兵を仕掛けて襲撃してきました。濮英は、この戦いで馬を倒されて捕らえられ、人質となってしまいました。しかし、濮英は敵に屈することなく、絶食して一切の言葉を発さず、隙を見て佩刀で自らの腹を割いて自害しました。この悲報が皇帝に伝えられると、濮英の忠義を讃え、金山侯の封を追贈し、諡号として「忠襄」が贈られました。さらに翌年には、楽浪公の封が改めて贈られました。

子女

濮英には、濮璵という息子がいました。彼は、父の功績により西涼侯に封じられ、世襲の権利を与えられました。1390年、濮璵は東昌で兵士の訓練を命じられ、さらに臨清に駐留して兵士を鍛えました。1392年には南京に呼び戻され、馮勝らとともに山西の騎兵を検閲しました。また、山西の民兵の戸籍を作成する際には、担当する州県が最も多かったと言われています。しかし、翌年、濮璵は藍玉の獄に連座して処刑されてしまいました。

濮英の生涯は、勇猛果敢な武将としての輝かしい活躍と、忠義を貫いた悲劇的な最期が深く印象に残るものであり、明朝初期の歴史において重要な人物の一人として語り継がれています。

脚注

参考文献
* 『明史』巻133 列伝第21

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