瀬尾脩

瀬尾脩：日本のテレビドラマ史に名を刻んだ撮影技師

瀬尾脩（せのおすすむ）は、1932年4月20日生まれ、2014年5月15日没の日本の撮影技師です。茨城県出身で、日本映画撮影監督協会会員として活躍しました。主にテレビドラマ作品でその手腕を発揮し、日本の映像文化に多大な貢献を果たしました。

東映時代とキャリアの始まり

1953年、日本大学芸術学部を中退後、東映東京撮影所（現・東映テレビ・プロダクション）に入社。当初は撮影助手としてキャリアをスタートさせました。劇場映画では主にBカメラを担当し、東映作品でおなじみのオープニングタイトルの撮影にも携わったとされています。白黒映画の時代から撮影に携わり、その技術を磨いていきました。

1967年、テレビドラマ『ジャイアントロボ』で撮影技師としてデビュー。その後、数々の東映作品で撮影を担当します。代表的な作品には『キイハンター』、『柔道一直線』、『刑事くん』など、1970年代の東映を代表する人気ドラマが挙げられます。

1974年には東映企画プロモーションに移籍し、一時的に撮影技師としての活動を休止しますが、1981年に復帰。復帰後は、特撮ヒーローシリーズを中心に活躍することとなります。

メタルヒーローシリーズへの貢献

瀬尾氏は、東映制作の「宇宙刑事シリーズ」や「メタルヒーローシリーズ」といった特撮作品に数多く参加しました。『特捜エクシードラフト』からは「浄空（じょうくう）」名義で参加。これは還暦を機に改名したもので、助監督である目黒圭一氏によると、書道の号で「ジョーク」のもじりだったそうです。

長年に渡り数々の特撮作品を支え、『ビーファイターカブト』41話「ルール無用頂上決戦」(1996年)をもって、後進に道を譲り、第一線から退きました。

撮影現場での逸話

瀬尾氏には数々のエピソードが残されています。

俳優の千葉真一氏は、『キイハンター』の撮影で瀬尾氏から「好きに動いていい」と言われた際、フレームアウトさせようと思い、素早く動いたものの、瀬尾氏の撮影した映像では見事にフレーム内に収まっていたことに驚愕したそうです。これは瀬尾氏の高い撮影技術と、被写体を捉える的確な判断眼を示すエピソードと言えるでしょう。

また、『宇宙刑事ギャバン』の魔空空間の合成シーンに関して、企画者である横田誠氏は、瀬尾氏とアクション監督の金田治氏の息の合った神業と評しています。このエピソードは、瀬尾氏の技術力だけでなく、スタッフとの連携の素晴らしさを物語っています。

2014年5月15日、瀬尾氏は亡くなりました。告別式には、多くの関係者が参列し、その死を悼みました。妹尾青洸氏の証言によると、通夜には東映東京撮影所から2台のロケバスがチャーターされたというエピソードは、瀬尾氏が業界内でいかに慕われていたかを物語っています。

作品リスト

瀬尾氏が撮影を担当した主な作品は以下の通りです（一部抜粋）。

テレビ

キャプテンウルトラ (1967年)
ジャイアントロボ (1967年-1968年)
キイハンター (1968年-1973年)
河童の三平 妖怪大作戦 (1968年-1969年)
特命捜査室 (1969年)
柔道一直線 (1969年-1971年)
刑事くん (1971年-1972年)
アイフル大作戦 (1973年-1974年)
仮面ライダースーパー1 (1980年-1981年)
土曜ワイド劇場 西村京太郎トラベルミステリー「終着駅殺人事件」(1981年)
宇宙刑事シリーズ (1982年-1985年)
メタルヒーローシリーズ (1985年-1996年) 多数
月曜ドラマランド ゲゲゲの鬼太郎 (1985年)

映画

仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王 (1980年)
宇宙刑事シャイダー (1984年)
宇宙刑事シャイダー 追跡!しぎしぎ誘拐団 (1984年)
機動刑事ジバン (1989年)
重甲ビーファイター (1995年)
忍者戦隊カクレンジャー (1994年)

オリジナルビデオ

妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム (1987年)
真・仮面ライダー 序章 (1992年)
スーパーバトル ウルトラマンVS仮面ライダー (1993年)

瀬尾脩は、日本のテレビドラマ、特に特撮ヒーロー番組の発展に大きく貢献した人物でした。彼の技術と人柄は、多くの関係者の記憶に深く刻まれています。

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