灰クロム柘榴石

灰クロム柘榴石（Uvarovite）

灰クロム柘榴石（かいクロムざくろいし）、またはウバロバイトとは、ネソケイ酸塩の柘榴石群に属する鉱物の一種です。この鉱物は、化学組成がCa3Cr2(SiO4)3で、結晶系は等軸晶系に分類されます。また、名前の由来はロシアの学者で政治家のセルゲイ・ウヴァーロフにちなんでいます。

産出地

灰クロム柘榴石は、スペインやロシアのウラル山脈、カナダのケベック州、さらにはフィンランド、ノルウェー、南アフリカなど、さまざまな地域でクロム鉱床中から発見されます。日本においても、北海道の日高町や愛媛県の四国中央市土居町でクロム鉄鉱に伴って産出されることがあります。
主にクロム鉱床から採取され、しばしばクロム鉄鉱の近くに見られる鉱物です。

性質・特徴

灰クロム柘榴石は、通常、濃い緑色をしていますが、純粋な状態ではその色合いが際立っており、一般的には灰鉄柘榴石や灰礬柘榴石成分が固溶体として含まれています。そのため、緑色が強いものでも、これらの成分が多く混じっていることが一般的です。

屈折率は約1.865ですが、密度や他の成分の固溶割合によって変動することがあります。また、カルシウムイオンのイオン半径がやや大きいため、灰鉻柘榴石や鉄鉻柘榴石と固溶体を形成するのは難しい傾向があります。

大半の灰クロム柘榴石は、クロム鉄鉱の表面上に薄い膜状の結晶として形成されることが多いですが、一般の柘榴石と同じく、肉眼で確認できる程度の大きさの菱形十二面体や、稀に偏菱二十四面体の自形結晶も生成されることがあります。また、特に大きな結晶は黒っぽい外観を持つことがあります。

この鉱物は熱力学的に見て、常圧下では不安定な性質を持ち、逆に高圧になると安定性を増すため人工的に合成するのは難しいことが知られています。灰クロム柘榴石の合成を行うには、約2万気圧、900℃の高温高圧条件が必要です。

用途・加工法

灰クロム柘榴石はその美しい緑色からジュエリーとしての利用が期待されていますが、主に鉱石としての特性を生かした産業利用が見込まれています。しかし、産出が難しく、重要な鉱物資源とは言えません。特に、高圧下で安定する性質を考慮に入れて、特定の産業応用に向けた研究が進められることでしょう。

参考文献

• - 青木正博『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社、2011年、139頁。

関連情報として、灰クロム柘榴石に関する詳細は地質標本館などの研究資料でも確認できます。また、関連リンクとして英語のデータベースも参照することができます。

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