炎のロックンロール

炎のロックンロール (Keep Yourself Alive)

「炎のロックンロール」（Keep Yourself Alive）は、イギリスのロックバンド、クイーンのデビューシングルとして1973年にリリースされた楽曲です。ブライアン・メイが作詞・作曲を手掛けました。この曲は、クイーンの初期の音楽性を色濃く反映しており、彼らのキャリアにおいて重要な一曲と位置づけられています。

楽曲の制作背景

この曲は、ジョン・ディーコンが加入する前の1970年に、ブライアン・メイがアコースティックギターを弾きながら作曲したものです。歌詞は、当時の彼らの状況を皮肉っぽく、ユーモラスに表現したもので、フレディ・マーキュリーの力強いボーカルによって、楽曲は完成しました。

1971年の夏にはレコーディングが開始され、最初のセッションはディ・レーン・リー・スタジオで行われました。この初期のデモバージョンでは、イントロをメイがアコースティックギターで演奏し、マーキュリーが歌うバース部分、テイラーとマーキュリーが掛け合うブレークなど、曲の基本的な構成が既に出来上がっていました。このデモバージョンはメイのお気に入りのテイクの一つです。

その後、トライデント・スタジオでの本番テイクでは、様々な試行錯誤が繰り返され、マイク・ストーンによるミックスが最終的に採用され、シングルとしてリリースされました。この曲では、マーキュリーがすべてのコーラスを多重録音で担当しており、また、曲中には、"Do you think you're better every day?"というフレーズをテイラーが、"No I just think I'm two steps nearer to my grave"というフレーズをメイが歌うという特徴的な構成になっています。このレコーディングでは、アコースティックギターは使用されておらず、EMIの歌詞カードには、7本のエレクトリックギターのパートが記載されています。

ライヴ・パフォーマンス

ジョン・ディーコンが加入後、クイーンはこの曲をすぐにライブのセットリストに加えました。フレディ・マーキュリーは、この曲を「当時のクイーンを語るのにぴったりの曲」と評しました。1980年と1981年のツアーでは、曲の前に即興のジャムセッションを行い、ドラムソロの後には、テイラーのティンパニソロからメイのギターソロへ移行し、そこから「ブライトン・ロック」のフィナーレや「フラッシュ・ゴードン」のメドレーに繋げるという構成がとられました。

その後、1984年の「ザ・ワークス」ツアーで、古い曲のメドレーの一部として演奏されるまで、この曲はライブで演奏されることはありませんでした。

収録曲

オリジナル盤
1. 炎のロックンロール - Keep Yourself Alive (May)
2. サン・アンド・ドーター - Son and Daughter (May)

1975年盤(アメリカのみ)
1. 炎のロックンロール - Keep Yourself Alive (May)
2. 谷間のゆり - Lily of the Valley (Mercury)
3. ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン - God Save the Queen (Arranged by May)

演奏メンバー

フレディ・マーキュリー - リード・ボーカル、バッキング・ボーカル
ブライアン・メイ - エレクトリック・ギター、リード・ボーカル（ミドルエイト）、バッキング・ボーカル
ロジャー・テイラー - ドラムス、パーカッション、タンブリン、カウベル、リード・ボーカル（ミドルエイト）、バッキング・ボーカル
ジョン・ディーコン - ベース

他のアーティストによる使用

イングヴェイ・マルムスティーンが1997年にカバーし、クイーンのトリビュートアルバムに収録。
アイアン・メイデンがライブでこの曲のギターリフを使用。

メディアでの起用

トヨタ自動車のSUV「C-HR」のCMソングとして使用され、「KEEP YOURSELF ALIVE 走るなら、自分の道を。」というキャッチフレーズとともに展開。
映画「ボヘミアン・ラプソディ」で、フレディとジョンを迎えた最初のライブシーンで使用。

収録アルバム

戦慄の王女
ライヴ・キラーズ
グレイテスト・ヒッツ（米国盤LP）
クイーン・ロックス
ライヴ・アット・ザ・レインボー‘74
ボヘミアン・ラプソディ (オリジナル・サウンドトラック)

この曲は、クイーンの初期のエネルギーと創造性を象徴する一曲であり、今日でも多くのファンに愛されています。

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