無コノイド綱

無コノイド綱（Aconoidasida）とは

無コノイド綱は、アピコンプレックス門に属する真核単細胞生物の一群で、主に赤血球や白血球に寄生します。代表的なものとして、マラリア原虫が挙げられます。これらの生物は、吸血動物によって媒介される寄生虫であり、宿主の体内で生活環を完結させる特徴を持ちます。

特徴

無コノイド綱の生物は、コクシジウム類と似た特徴を持ちますが、大きな違いとして、環境中に出ることがなく、胞子の状態を持たない点が挙げられます。これは、常に宿主動物の体内に留まるためです。また、アピコンプレックス門の生物が持つアピカルコンプレックスという細胞内構造において、無性世代でコノイド（円錐体）を欠くことが、この綱の名前の由来となっています。

分類

アピコンプレックス門の分類は、分子系統解析によって再検討が進められており、無コノイド綱もその対象となっています。この綱は、分子系統解析導入以前に微細構造に基づいて設定されましたが、主要な生物群については、分子系統解析でも比較的安定したグループを形成することが確認されています。無コノイド綱には、以下の3つの目が含まれます。

1. 住血胞子虫目 (Haemosporida)
主に吸血昆虫を媒介者とし、脊椎動物の血管内で生殖を行います。昆虫の消化管内で有性生殖を行い、オーシストを形成し、その中に多数のスポロゾイトができます。代表的なものとして、マラリア原虫やロイコチトゾーンが知られています。

2. ピロプラズマ目 (Piroplasmida)
主にダニを媒介者とする寄生虫です。少なくとも一部の種では、ダニの消化管内で有性生殖が行われ、特徴的な配偶体が観察されます。オーシストは形成されず、唾液腺内で多数のスポロゾイトが生じます。バベシアやタイレリアなどがこの目に含まれます。

3. ネフロマイセス目 (Nephromycida)
* 生活環の大部分を細胞外で過ごすグループで、細胞内に共生バクテリアを持つことが特徴です。フクロボヤ科の腎嚢に共生するネフロマイセスや、ホヤの血球に寄生するCardiosporidium cionaeが知られています。

分類上の経緯

無コノイド綱の生物は、かつて原生動物門胞子虫綱血虫目に分類されていました。1950年頃まではこの分類が用いられていましたが、ピロプラズマ類に明確な有性生殖が認められなかったことから、住血胞子虫から区別されるようになりました。一時的には肉質虫に分類されたこともありました。その後、電子顕微鏡観察によってアピカルコンプレックスという共通の細胞構造が見出され、無性世代でコノイドを欠くという共通点から、現在の無コノイド綱としてまとめられるようになりました。

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