照国神社

照国神社（てるくにじんじゃ）は、鹿児島県鹿児島市照国町に鎮座する神社です。旧社格は別格官幣社で、江戸時代後期から明治時代初期にかけて流行した藩祖を祀る神社の一つとして知られています。

祭神

照国神社の祭神は、照國大明神（てるくにだいみょうじん）として祀られる島津斉彬公（しまづなりあきらこう）です。島津斉彬公は、薩摩藩の第11代藩主であり、その功績から神として祀られました。

沿革

島津斉彬公は、安政5年（1858年）に50歳で急逝されましたが、その遺志を継いだ弟の久光公（ひさみつこう）と甥の忠義公（ただよしこう）により、文久2年（1862年）に鹿児島城内西域の南泉院郭内に社地が選定され、祠が造営されました。翌年の5月11日には、孝明天皇の勅命により「照國大明神」の神号が授与され、正式に神社としての歴史が始まりました。

元治元年（1864年）には、東照宮があった場所に社殿が新たに造営され、「照國神社」と称されるようになりました。明治6年（1873年）に県社に列格し、明治15年（1882年）には別格官幣社に昇格しました。この昇格は、明治維新における斉彬公の功績と薩摩藩の役割が大きく考慮された結果であると考えられています。

現在では、妙円寺詣りの出発地としても知られ、多くの参拝者が訪れています。

祭祀

照国神社では、毎年旧暦6月16日に「六月灯（ろくがつどう）」という祭りが開催されます。六月灯は、鹿児島県下の多くの寺社で行われるお祭りですが、照国神社の六月灯は最大規模を誇ります。

境内

照国神社の境内は広く、「天照皇大神宮」の「照」と「神」の二文字が使われていることからも、その神聖さが伺えます。参拝の際には回廊を巡ることになります。

境内には、祭神である島津斉彬公の銅像が建てられているほか、弟の久光公や甥の忠義公の銅像も建立されています。

所蔵文化財

照国神社には、数多くの文化財が所蔵されています。併設の宝物館では、島津斉彬公関連の書簡などが展示されています。中でも特に有名なのが、国宝に指定されている太刀「銘国宗（めいくにむね）」です。

この太刀は、鎌倉時代の備前国の刀工、三郎国宗の代表作であり、昭和2年（1927年）に島津家から神社に寄進されました。当初は古社寺保存法に基づき国宝に指定されましたが、第二次世界大戦後GHQに没収され、長らく所在不明となっていました。その後、アメリカで競売にかけられ、愛刀家のウォルター・コンプトン氏の所蔵となりました。しかし、コンプトン氏の厚意により、昭和38年（1963年）に無償で神社に返還され、翌年には文化財保護法に基づく国宝に再指定されました。

太刀はその後、東京国立博物館に寄託されていましたが、平成5年（1993年）からは鹿児島県歴史資料センター黎明館に寄託・展示されています。この太刀は、刃長81.4センチ、反り2.6センチで、鎌倉時代中期の典型的な太刀姿をしています。地鉄は小板目、刃文は匂出来（においでき）の丁子乱れを主体とし、乱れ映りが立っています。茎（なかご）には「國宗」の二字銘があります。

交通

照国神社へのアクセスは、鹿児島中央駅または鹿児島駅から鹿児島市電2系統または路線バスを利用し、「いづろ通」または「朝日通」で下車し、徒歩で向かうことができます。また、国道3号、10号、225号の照国神社前交差点からは徒歩1分、鹿児島県道24号鹿児島東市来線、25号鹿児島蒲生線の照国町交差点からは徒歩3分です。

関連情報

照国神社は、アニメ『妖怪ウォッチ』のオープニングテーマに登場する「照國神社の熊手」の舞台としても知られています。また、かつては同アニメのスポンサーにもなっていました。

外部リンク

照国神社（神社公式）

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