熊本市交通局0800形電車

熊本市交通局0800形電車

熊本市交通局0800形電車は、熊本市の路面電車において100%低床構造の超低床電車として導入されました。2009年4月に営業運転を開始し、3編成が在籍しています。その中でも、2014年に運転を開始した第3編成0803ABは、熊本市電の開業90周年を記念して「COCORO」という愛称を持っています。

導入の経緯

熊本市交通局の路面電車は1970年代末に全廃計画が撤回され、以降市電に対しての投資が続いていました。交通局は1990年から超低床電車の導入を検討し、1997年に9700形の導入を実現しました。それ以来新潟鐵工所との業務提携により、日本向けに設計変更された超低床電車の製造が進められました。

0800形の導入は、2006年に施行されたバリアフリー新法を受けて、鉄道車両のバリアフリー化率目標が50%とされたことがきっかけとなりました。また、熊本市とJR熊本駅における輸送力の増強を目指し、0810形の導入が進められました。

車体・主要機器

0800形は、アドトランツが提供した「インチェントロ」タイプを基にした2車体2台車式の超低床電車で、全高は3.745m、全長は18.4mに設計されています。自重は25.0トンで、車内は利用しやすいように段差を減らした設計が施されています。450mmの床下高さにより、電停ホームとの段差が小さくなっています。

客室内の座席配置は、中央部にクロスシート（3列）、車端部にロングシートが配置されています。さらに、運転席直後に設けられたロングシートは折りたたみ式になっており、車椅子スペースも兼ねています。定員は82人から30席に増加しました。

台車・床下機器

台車はボルスタレス式ボギー台車を採用しています。振動や騒音を軽減するために、ゴムばねや弾性車輪が使用されています。主電動機は出力100キロワットのかご形三相誘導電動機が搭載されており、電気ブレーキやディスクブレーキも備えています。また、屋根上には集電装置や主制御装置が設置されています。

COCORO（0803AB）

0803ABは経営健全化計画の一環として導入された新型車両です。デザインは工業デザイナーの水戸岡鋭治が担当し、熊本市を象徴する「思いやり」を表現しています。車体は黒に近いメタリックの濃茶色で、熊本城の城壁をイメージしています。

内装デザイン

COCOROは「森と水の都くまもと」をテーマに、木材を多く使用して明るい空間を演出しています。座席はウレタンが入った皮製のクッションが用意され、各車両ごとに異なる木材が使われています。定員は86人で、車内はダウンライトやLED灯が設置されており、夜間でも明るく保たれています。

運行について

COCOROの運行は独立した固定ダイヤで行われ、平日や週末の運行スケジュールが定められています。しかし、最近では運用離脱が続いています。

まとめ

熊本市交通局0800形電車は、乗客のニーズに応じたデザインとバリアフリー性を重視した車両です。COCOROとして知られる第3編成は、地域のシンボルともなっています。自動車との接触事故による運用離脱の影響もあって、今後の復帰が待たれるところです。

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