熊本電気鉄道5000形電車

熊本電気鉄道5000形電車

熊本電気鉄道5000形電車は、熊本電鉄が所有していた電車で、東京急行電鉄（東急）の初代5000系を譲り受けたものです。老朽化した車両の代替として導入され、熊本電鉄初のカルダン駆動方式を採用した車両として活躍しました。

概要

1981年と1985年に、東急5000系デハ5000形を計6両譲り受けました。当初は東急時代の番号のまま使用されましたが、後に改造を受け、熊本電鉄の路線に合わせた仕様に変更されました。

車両詳細

5043・5044

[1981年]]に譲り受けた2両は、東急時代の番号のまま使用されました。主な改造点として、熊本電鉄の直流600Vに対応するための降圧工事、[[電動発電機]の交換、主抵抗器送風機の新設などが行われました。車体塗色や台車は東急時代のままでしたが、社紋は熊本電鉄のものに交換されました。

1986年にはワンマン運転対応化改造を受け、1988年には5043が両運転台化され5105となりました。一方、5044は改造されず休車扱いとなりました。

5101 - 5105

これらの車両は、単行運転のために連結面側に運転台を増設し、両運転台化されました。また、ワンマン運転に対応するための各種機器が搭載されました。

5101 - 5104は1985年に譲り受けた車両で、東急長津田車両工場で改造を受けました。5105は1988年に5043を自社工場で改造した車両です。新設された運転台は、前面部が切妻のまま3枚窓貫通形の形状となっていたため、「平面ガエル」と呼ばれました。

5101 - 5104は譲渡時に降圧改造工事が行われ、電動発電機や電動空気圧縮機が交換されました。車体塗色は東急時代のライトグリーンのままでしたが、ワンマン対応を示すために黄色と橙色の帯が追加されました。また、側面ドア脇には「入口」「出口」「締切」を示す表示灯が新設されました。

車内には、運賃箱、運賃表示器、整理券発行機、自動放送装置などのワンマン運転用設備が設置されました。つり革には東急時代の広告がそのまま残されていました。

5101 - 5104と同時に、部品確保用としてデハ5109・5120の2両が譲渡されましたが、これらは車籍を持たず、解体されました。

運用

就役後は熊本電鉄の主力車両として使用され、1991年には新塗装に変更されました。しかし、車体の老朽化や冷房装置の搭載が困難なことから、1995年以降に廃車が進められました。

2004年に全線でATS運用が開始されると、残った5101・5102の2両がATS機器を取り付けられ、5101A・5102Aに改番されました。塗装も東急時代のライトグリーンに戻され、上熊本駅 - 北熊本駅間の折り返し運転に使用されました。

2012年10月から2014年10月まで、5101Aが『ケロロ軍曹』のラッピングトレインとして運行されました。

2015年から2016年にかけて、東京メトロ01系が導入されたことに伴い、5000形は運用を終了しました。5102Aは2015年3月に廃車され、5101Aは2016年2月まで運行されました。引退後、5101Aは北熊本駅構内にて動態保存されています。

参考文献

交友社『鉄道ファン』1986年2月号（通巻298号）pp.54-56 荻原俊夫 熊本電鉄が5000系を増備

関連項目

東急5000系電車 (初代)

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