熊野敏三

熊野敏三

熊野敏三（くまの びんぞう、1855年2月8日（安政元年12月22日） - 1899年（明治32年）10月11日）は、幕末から明治にかけて活躍した日本の官僚であり、法学者です。

生涯

1855年、長州藩（現在の山口県）の萩に生まれました。幼名は猪三郎といいました。幼少期は松下村塾で漢籍を学び、その後、1871年に上京してフランス語を習得しました。1872年には大学南校に入学しますが、後に司法省明法寮に転学しました。

1875年からフランスに留学し、パリ大学で法律を学びました。1883年に帰国すると、司法省参事官に就任し、日本の近代法整備に尽力しました。特に、旧民法や旧商法の作成に深く関わり、フランス人法学者ボアソナードが作成した旧民法の草案の翻訳や、家族法の草案作成を担当しました。1888年には法学博士の学位を授与されています。

また、教育者としても活躍し、明治法律学校では法律大意、人事法、相続法、万国公法などを教えました。1897年9月からは教頭も務め、後進の育成に尽力しました。

1899年5月、肺病に倒れ、同年10月11日に44歳で亡くなりました。

業績

熊野敏三は、日本の近代法整備に多大な貢献をしました。特に、旧民法の編纂においては、ボアソナードの草案を翻訳し、日本の実情に合わせた法典を整備しました。また、家族法の分野では、日本の伝統的な家族制度を考慮しながらも、近代的な法制度を構築しました。

教育者としては、明治法律学校で多くの法律家を育てました。彼の教えを受けた学生たちは、日本の法曹界や官界で活躍しました。

栄典

1886年7月：従六位
1892年11月14日：従五位

参考文献

花房吉太郎, 山本源太 編『日本博士全伝』,法学博士 熊野敏三君,博文館,1892. 国立国会図書館デジタルコレクション
七戸克彦「現行民法典を創った人びと（6）主査委員 3 : 木下広次・熊野敏三，外伝2 : 進化論」『法学セミナー』第54巻第10号、2009年、64-66頁、NAID 120001730653。

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