熱塩駅

熱塩駅：日中線の記憶を伝える場所

熱塩駅は、かつて福島県耶麻郡熱塩加納村（現在の喜多方市熱塩加納町）に位置していた、日本国有鉄道（国鉄）日中線の駅でした。1984年（昭和59年）に日中線が廃止されたことに伴い、その歴史に幕を閉じました。しかし、駅舎は「日中線記念館」として保存され、往時の姿を今に伝えています。

歴史

熱塩駅は、1938年（昭和13年）に一般駅として開業しました。開業当初の所在地は、福島県耶麻郡熱塩村大字熱塩でした。

1938年（昭和13年）8月18日：一般駅として開業。
1957年（昭和32年）7月1日：貨物取り扱い廃止。
1957年（昭和32年）9月1日：貨物取り扱い再開。
1974年（昭和49年）4月1日：貨物取り扱い廃止。
1984年（昭和59年）2月1日：荷物取り扱い廃止。
1984年（昭和59年）4月1日：廃線に伴い廃止。
1987年（昭和62年）：日中線記念館が開館。
2009年（平成21年）2月6日：近代化産業遺産認定。

駅構造

熱塩駅は、単式ホーム1面1線の地上駅でした。日中線では、廃止に至るまで全ての列車が機関車による客車牽引方式で運行されていたため、駅には機回し線が設けられていました。また、貨物を取り扱っていた時代の名残として、喜多方方面には側線が1本残っていました。末期には無人駅となり、ポイント操作は機関車に添乗していた職員が担当していました。

駅舎は欧風建築で、その美しい外観から人気を集めていましたが、末期には老朽化が進んでいました。しかし、日中線記念館として整備された後、2009年（平成21年）には経済産業省の「近代化産業遺産群 続33（東北開発）」の一つとして、近代化産業遺産に認定されています。

開業当初の駅舎は、中央部分が二階建て構造でしたが、内部には階段がなく、はしごを使って出入りする物置のような用途で使用されていました。記念館として整備される際、二階への出入り口は埋められ、現在は天井の高い平屋建てとなっています。はしごは駐輪場の屋根裏に残されています。

野辺沢川寄りには、転車台の遺構が現存しています。この転車台は人力で操作する可動式で、下部は水槽状になっており、浮力を利用して回転に必要な力を軽減する設計でした。開業当初は使用されていましたが、日中戦争の影響で人員不足となり、使用されなくなりました。その後、橋桁および転車台に繋がっていた機回し線は撤去され、機回し線は本線に隣接するように敷設し直されました。役目を終えた水槽部分は、季節によって池や花壇として利用されています。

駅周辺

駅周辺には、以下の施設があります。

喜多方市役所 熱塩加納総合支所（旧・熱塩加納村役場）
熱塩温泉郵便局
喜多方市立熱塩小学校
喜多方市立会北中学校
熱塩幼稚園
熱塩温泉

現状

現役時代には荒廃していた駅舎は、廃止から3年後の1987年（昭和62年）に整備され、「日中線記念館」として、日中線に関する資料などを展示しています。構内の線路は撤去されましたが、以下の車両が保存されています。

キ287
オハフ61 2752

アクセス

かつては会津乗合自動車の路線バスが運行していましたが、2012年9月30日に廃止されました。また、広田タクシーの予約制乗合バス「マスコットくん」も運行していましたが、2015年に廃止されました。

隣の駅

日本国有鉄道

日中線

会津加納駅 - 熱塩駅

熱塩駅は、日中線の歴史を今に伝える貴重な遺産です。記念館を訪れ、往時の日中線に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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