片倉邦雄

片倉邦雄について

片倉邦雄（かたくら くにお）は、1933年10月22日東京に生まれた日本の外交官です。彼は、特に中東地域における外交活動でその名を知られており、湾岸戦争時にはイラク駐箚特命全権大使として、困難な状況下での人質解放に尽力しました。

生い立ちと学歴

片倉邦雄は、宮城県を本籍地とする家系に生まれました。その家系は、伊達政宗の乳母である喜多の名跡を継いだ田村宗顕の後裔にあたります。片倉は、旧制宮城県佐沼中学校（現在の宮城県佐沼高等学校）を経て、東京都立戸山高等学校に進学しました。その後、東京大学に進み、教養学部理科Ⅱ類、文科Ⅰ類を経て、1959年に法学部公法科を卒業しました。また、大学在学中にはダートマス大学に留学し、国際的な視野を広げました。

外交官としてのキャリア

1960年、東京大学法学部を卒業後、外務省に入省。外務省では、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院、レバノン英国外務省所属アラビア語研修センター、カイロ大学に留学し、アラビア語と中東情勢への理解を深めました。その後、1971年には国連代表部一等書記官、1976年には外務省中近東アフリカ局中近東第二課長、1980年には駐イラン大使館参事官を務めました。

1983年には駐英国公使となり、チャタム・ハウス（王立国際問題研究所）客員研究員も兼任。1984年にはバンクーバー総領事、1986年にはアラブ首長国連邦駐箚特命全権大使を歴任しました。そして、1990年にはイラク駐箚特命全権大使に任命され、湾岸戦争という危機的な状況に直面しました。片倉は、イラクのクウェート侵攻とそれに続く湾岸戦争において、在留邦人の保護と解放に尽力しました。

湾岸戦争と人質解放

湾岸戦争時、イラクは「人間の盾」作戦を展開し、多くの外国人が人質となりました。片倉大使は、この状況下で在留邦人の解放に奔走しました。しかし、イラク軍の侵攻直前に、片倉大使と駐クウェート大使の黒川剛が休暇中で任地を離れていたことが批判の対象となりました。

外交官退官後

1991年、片倉は国際交流基金専務理事に就任し、1994年にはエジプト特命駐箚全権大使を務めました。1999年に外務省を退官し、同年から大東文化大学国際関係学部教授として教鞭を執りました。また、2004年からは21世紀イスラーム研究会代表幹事としても活動しています。

同期

片倉邦雄と同期には、以下の著名な外交官がいます。
林貞行（駐英大使、外務事務次官、外務審議官）
福田博（最高裁判所裁判官、外務審議官）
谷野作太郎（駐中国大使、駐印大使、内閣外政審議室長）
数原孝憲（青年海外協力隊事務局長、駐アイルランド大使、駐ナイジェリア大使）
小野寺龍二（駐墺大使）
太田博（駐タイ大使、駐サウジアラビア大使）
伊藤憲一（日本国際フォーラム理事長、青山学院大学教授）
小西芳三（駐ペルー大使）
古川栄一（日本国際戦略センター設立）

著書

片倉邦雄は、中東情勢に関する多くの著作を発表しています。主な著書には以下があります。

『JAPAN and the MIDDLE EAST』（英文、共著、1994年、中東調査会）
『人質と共に生きて』（1994年、毎日新聞社）
『トン考―ヒトとブタをめぐる愛憎の文化史』（共著、2001年、アート・ダイジェスト）
* 『アラビスト外交官の中東回想録』（2005年、明石書店）

外部リンク

中東イスラーム政治・国際関係（一橋フォーラム21 第60期統一テーマ　イスラムと世界）

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